本当にコストダウンのため?? MAZDA3がトーションビームを採用したマツダらしい訳について

自動車の基礎、構造やメンテナンスについて

こんばんわ、たまです。

 

本日は、何故新型のMAZDA3が、旧型アクセラで採用していたダブルウィッシュボーン式サスペンションをやめ、トーションビーム式と呼ばれる、廉価車両に採用されがちなサスペンションシステムを採用したのか、について書きたいと思います(*´ω`*)

 

※CX-3に採用されているトーションビーム式のサスペンション画像

 

巷でよく言われているのは、

  • ダブルウィッシュボーンからトーションビームに変更だなんて、ただのコスト削減だ!
  • なんでモデルチェンジで低性能のサスを導入するんだ!
  • 乗り心地が悪くなる!

 

といった意見が多いようです。

 

実際私も、性能面で見れば旧型のダブルウィッシュボーン式の方が優れているはずなのに、昨今の業績を見てのコストダウンかな・・・程度にしか思っていなかったのですが、トーションビーム式サスペンションに変えたのにも、きちんとした理由があるそうです。

 

しかも、さすがマツダ、ガソリンエンジンでもディーゼルエンジンでもこれまでとは異なる着眼点で考えもしなかった製品を世に送り出してきたのですが、このトーションビーム式サスペンションに関しても同様に、今まで性能でしかサスペンションを見てこなかった私も、『へぇ~』と思える着眼点による採用理由であったので、ご紹介したいと思います(*´ω`*)

 

 

サスペンションシステムって何? 一言でいうと?

そもそもサスペンションというのは、路面の凹凸を滑らかにいなすために、車輪に取り付けられている緩衝装置を指すのですが、この緩衝装置とその取り付け方法によっていくつかの種類に分けられます。

 

まず、サスペンションとはこんな感じの物です。

 

皆さん一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?(*´ω`*)

 

サスペンション本体は、強い衝撃を緩衝するバネ(写真の赤いらせん状のパーツ)と、そのバネの伸び縮みを素早く減衰させるダンパー(写真の黒とシルバーのパーツ)から成り立っています。

 

そして、このサスペンションをどのようにして車体に取り付けるかでその呼称が変わるのですが、その一つがトーションビームと言います(*´ω`*)

 

ざっくり、有名どころのサスペンションシステムの種類を挙げると、

  • トーションビーム式(車軸式、トレーリングアーム式等とも)
  • マクファーソン・ストラット式(単にストラット式とも)
  • ダブルウィッシュボーン式
  • マルチリンク式

といったものが挙げられます。

今普通に私たちの身の回りにある乗用車に採用されているのは、ほぼ上記のサスペンションのどれかになります。

 

参考にネットで拾ってきた画像ですが、下の画像で言えばフロント(左側)がストラット式、リア(右側)がトーションビーム式のサスペンションシステムとなっています。

 

 

うちのアコードやC-HRの場合は、フロントはストラット式、リアがダブルウィッシュボーン式ですね(*´ω`*)

 

 

新型MAZDA3に採用されたトーションビーム式の利点・欠点

それでは、今回MAZDA3にも採用されているトーションビーム式サスペンションについて簡単に解説します。

 

トーションビーム式サスペンションは、下の写真でも分かるように、サスペンションを取り付けるトレーリングアームを、中央に配された”ビーム”と呼ばれる棒でつないで一体化させたサスペンション形式を指します。

左右のタイヤ(というか車輪周り一式)を繋ぐビームが一体化しているため、車軸懸架式とも呼ばれます。

 

 

こんな感じです。

左右の車輪が、一本の軸で繋がっているタイプと覚えてください(*´ω`*)

 

 

Youtubeを見ていると、ホンダのフィットのトーションビーム周辺を映した走行動画がありましたので貼っておきます。

 

 

FITと共に…Vol.17 働き者!! 走行中のサスペンションを見る

 

この映像を見ていただくと、上記で記載した左右を繋ぐビームが車両中央を通っていて、かつ、車輪の上下に合わせてビームごと上下している様子がよくわかります。

 

 

このサスペンションの長所としては、

  • 構造が簡単でコスト面に優れる
  • ダンパーとバネの配置を比較的自由に配置できるためスペースの制約が少ない

といった点。

 

一方で短所としては、

  • 左右のタイヤを軸でつないでしまっているため、左右が独立した動きが不可能(接地性で不利になることも)
  • 横Gに対する剛性が低く、車重が重い車体だとサスペンションがうまく仕事をしない
  • 基本的にアライメント調整は不可能

といった点。

特に左右独立した稼働が不可能という点に関しては動画を見ていただければよく分かるかと(*´ω`*)

 

ということで、このトーションビーム式サスペンションは、低コストを要求されるコンパクトカーや広い車内が要求されるミニバン等に最適であるものの、重量級である大型セダンや大型ミニバンといった車種には向いていないサスペンションと言えます。

 

こういうイメージがあるので、今回新型MAZDA3にトーションビーム式が採用されるとなった際に、各所から文句の声が噴出したのだと思います。

私も『新型なのに何故!?』と思いましたし。。。

 

 

旧型に用いられていたダブルウィッシュボーン式の利点・欠点

では、旧型のアクセラに採用されていたダブルウィッシュボーン式サスペンションについても簡単に解説します。

 

ダブルウィッシュボーン式というのは、上記で解説したトーションビーム式と異なり、左右の車輪が車軸から独立してマウントされているのが特徴で、左右独立して動くことができることから、独立懸架式サスペンションとも呼ばれます。

 

形状としては、鳥の鎖骨(ウィッシュボーン)のような形状のアームが2つ車体側から伸びており、それらがホイール取り付け部を挟み込むような形状になっています。

 

ちょうど下の写真のような感じです。

一目でトーションビーム式と異なり、複雑な形状をしていることが分かりますね(*´ω`*)

 

これも、ネットで動画を拾ってきました自分で撮影してきましたので、動きをご覧ください。

トヨタ C-HRで見る、ダブルウィッシュボーン式サスの動き Double Wishbone Suspension

先ほど記載した通り、左右独立して動くことがこの形式の特徴です。

動画内でもリンクで繋がれたタイヤがスムーズに上下運動し、衝撃を吸収していることが分かります。

(C-HRのリアサスが撮影しやすかったので、サクッと動画撮ってきました(*´ω`*))

 

 

この形式の利点としては、

  • 多数の部品で構成されているので剛性が確保しやすい
  • 走行状態に最適なタイヤ設置角を保てるため、特にカーブ時に車体を安定させやすい。
  • タイヤを支えるアームとサスペンションが独立しているため、サスペンションの動きが阻害されることが少ない。

 

といったところで、トーションビームに対して性能面で有利であることが分かります。

一方、もちろん欠点もあり、

  • 部品点数が多いのでコストが高い
  • アッパーアームが存在するため、レイアウトの制限が出る(リアに用いる場合は荷室が狭くなる)
  • 重量が重くなる

 

といった点が挙げられます。

その為、ダブルウィッシュボーン式サスペンションは、乗り心地が要求され、かつある程度のコスト上昇、荷室の縮小が許容される高級車や、路面追従性が求められるスポーツカー等に採用されることが多くなります。

 

 

どちらがサスペンションとして優れている?

 

ということで、まずトーションビーム式サスペンションとダブルウィッシュボーン式サスペンションの簡単な解説をさせていただきました。

 

では、どちらのサスペンションが優れているのかですが、

 

トーションビーム式

1本のビームで左右のサスペンションが接続されており、左右独立で動くことができない(=路面追従性に劣る)が、部品点数が少ないため軽く、コストが安い。

 

ダブルウィッシュボーン式

2本のアームで車輪を支えており、左右独立して動くことができる(路面追従性に優れる)が、部品点数が多いため重く、コストが高くなる。

 

ということで、性能面で見ればダブルウィッシュボーン、コスト面で言えばトーションビーム式が優れている、と考えることができます。

 

ただし、近年のトーションビーム式サスペンションは、ビームに適度なしなやかさを持たせることと、取り付け方法を工夫することにより、ビームのしなりを利用してダブルウィッシュボーン式に近い動きを再現できるということで、トーションビーム式と言えども一概に性能が低い、という話でもないようです(*´ω`*)

 

この話は、HONDAの『いいサスって何?ダブルウイッシュボーンがいいの?トーションビームはダメなの?』という話で詳しく語られていますので、良ければ一読ください。

ホンダの車開発にかける情熱といったものも感じることができます(*´ω`*)

実際のクルマで「いいサス」を実現する仕組みを見てみよう!
振動吸収のためのブッシュや、リアサスが「力を出す」ための弾性キングピンなどを実際のクルマで解説します!

 

 

ではなぜマツダはトーションビームを採用した?

ということでこの記事の本題、マツダはなぜ新型MAZDA3にトーションビーム式サスペンションを採用したのか、です。

 

これまで書いてきた通り、近年、性能的に劣るはずのトーションビーム式が、ビームのしなりを利用することで、ダブルウィッシュボーン式に近い路面追従性を得たことから、性能的には遜色ないレベルまで熟成されてきているということを書きました。

 

しかし、とはいっても、ダブルウィッシュボーン式を凌駕した!という記事は皆無です。

従い、やはり性能的に軍配が上がるのはダブルウィッシュボーン式であると思われます。

 

もちろん、先代MAZDA3(アクセラ)はドライブする楽しさを謡い、ダブルウィッシュボーン式を採用していましたので、コストカットなのでは?という疑惑を抱かざるをえないわけですが、マツダは、MAZDA3へのトーションビーム採用に関しては下記理由を挙げています。

 

 

・スカイアクティブアーキテクチャ採用に合わせて、すべての構成品の最適設計しており、トーションビーム採用についても”敢えて”選んだ。

・段差を超える際に、人が不快感を感じるのは段差を乗り越えた際の衝撃が伝わる際の、入力のズレであり、このズレを最小限にするためにトーションビーム式を採用した。

 

 

つまり、これまで独立して最適解を求めてきたシャシー、サスペンションの開発を車両全体で実施、総合的な作り込み(スカイアクティブアーキテクチャの開発)をした。

加えて、乗り心地改善の観点から、段差を乗り越える際にサスペンションから発生する衝撃音に注目、車体各所から発生する音のズレを最小とすべく、左右が独立しているダブルウィッシュボーン式ではなく、左右のサスペンションがビームで繋がっているトーションビーム式を採用した、ということらしいです(*´ω`*)

 

まさか車を運転している際の不快感が音のズレであるとは思いませんでした。

 

超高圧縮比ガソリンエンジンや超低圧縮ディーゼルエンジンなど、やはりマツダの目の付け所は違う!と言わざるを得ませんね(*´ω`*)

 

わたしもMAZDA3の試乗をしましたが、短い距離だったためその真価を感じ取ることができなかったのが残念です。

 

短い区間で言えば、ダブルウィッシュボーン式の私のアコードとも遜色ない乗り心地でしたので、そういう意味では、乗り心地を確保しつつ、不快感の払拭というのが達成できているのかもしれません(*´ω`*)

 

 

まとめ

ということで、MAZDA3がトーションビーム式サスペンションを採用した理由について書いてみました(*´ω`*)

 

実にマツダらしい着眼点です。

 

これまでサスペンションは乗り心地が最優先という考え方から、

マルチリンク > ダブルウィッシュボーン > トーションビーム

という優劣で語られることが多く、今回のようにダブルウィッシュボーンからトーションビームに変更されるのは、主にコストダウン目的であることがほとんどです。

 

そして、ある程度の車格の車や、高級車になるとトーションビーム採用と効くだけでネガティブな印象を与えてしまうというものですが、今回のMAZDA3の場合も同様の反応が相次ぎました。

 

私もその一人だったのですが、その理由を調べたところ、トーションビームの特徴をうまく利用したものであり、決してコストダウンが主目的ではないということが分かりました。

そして、改めてMAZDA3という車は面白いクルマだな、と俄然物欲が沸いてしまいました(*´ω`*)

 

今回は以上です。

 

最後までご高覧頂きありがとうございました。