こんばんわ、Ninja250Rに乗っている、たまです。
今日は、すでに生産終了となっていますが、HONDA Hornet250というバイクについて語ろうと思います。
HONDA ホーネット250ってどんなバイク?
バイク好きの間ではとてもよく聞くこの名前。
いったいどんなバイクなのかというと、ホンダが1996年に、それまで販売していたJADEというバイクの実質後継機種として世に送り出した、250cc 並列四気筒エンジンを積んでいるネイキッドバイクです。
当時、レーサーレプリカブームが落ち着きを見せていた中で、新たにネイキッド(今でいうストリートファイター)と言われるジャンルが人気を博してきました。各社ともこのジャンルに新型を投入することになるのですが、そのエンジンはレーサーレプリカのものをそのまま投入 or 若干のデチューン(低中速重視セッティングに変更)を施したものを搭載しており、とても動力性能に優れたバイクがが数多く現れました。
一例をあげると、Kawasaki バリオス、Suzuki バンディット、ヤマハはZealという、どれもレーサーレプリカベースの直列四気筒エンジンを搭載しています。
そして、HONDAはCBR250RR(MC22)のエンジンを受け継いだHornet250を発売することとなります。
さて、このバイク、色々な特徴があるのですが、中でも私がおすすめしたい理由は下記の項目。
- 安心と信頼のホンダ製
- 大型バイクと車体を共有した故の車格
- カムギアトレイン採用による超高回転エンジンを搭載
それでは、一つ一つ内容を解説していきたいと思います。
安心と信頼のホンダ製
車を販売している会社の中で、最も信頼性が高い(と言われいている)のはどのメーカかご存知でしょうか?
はい、日本を代表する企業であるトヨタですね。日本の自動車保有者の約50%がトヨタ車を保有しています。
ちなみに他のメーカの保有率ですが、日産が15%、ホンダが14%、外車が10%で、残りがその他のメーカとなっています。トヨタ圧倒的ですね。街中を走っていても、やっぱりトヨタ自動車ばかり見る気がします。
トヨタが売れている理由としては、販売チャンネルが多いというのもありますが、やはり耐久性の高い(信頼性が高い)車を作っているというイメージがあります。
『トヨタを買っておけば大丈夫』
という言葉はよく聞きますが、これがトヨタの信頼性を如実に示していますね。
では、バイク界(日本)でのシェアはどうなっているかというと、1位がホンダ、2位がヤマハ、3位がKawasaki、4位がスズキとなっているようです。Kawasakiとスズキは以前は逆だった気がしましたが、ともかく1位のホンダは不動の人気を誇りますね。割合にして、50:30:10:10くらい。過半数がホンダを選ぶようです。
バイク会の最大手であるホンダのイメージというと、やはり頑丈、故障が少ないということです。車でも同じような理由でトヨタが一位になっていました。趣味性が高いバイクにおいても耐久性・信頼性が高いメーカが選ばれるというのは中々面白いですが、それだけ選ぶ人がいるということは、信頼が大事なんですね。
例えば、その信頼性を示す証拠として、海外のサイトでスーパーカブを壊す動画が作られています。
何を言っているんだ、と思うかもしれませんが、あるユーザがスーパーカブの頑丈さを確かめるために、カブに対して様々な負荷を加えます。最初は土砂降り、悪路、長距離といった、ある程度日常生活で想定される負荷に始まるのですが、あまりに頑丈なため、終いにはオイルの代わりにサラダ油を投入したり、ビルの上から落としたり・・・。
さすがにビルの上から落とした時に、ホイールが歪んでしまって走行は不可能になったのですが、なんとエンジンは普通に掛かりました。
カブの例は少々ぶっ飛んでいますが、それぐらい、ホンダのバイクは頑丈で、耐久性が高いと言われています。
大型バイクと車体を共有した故の車格
バイクを買うときに優先する事項は何でしょうか?
価格?色?形?
車を買うときは、使いやすさ、扱いやすさといった機能的な面を重視する傾向がありますが、バイクに関してよく言われるのは、
『見た目が気に入ったものを買え』
ということ。バイクだけではないと思いますが、趣味性の高いものに関して、人はこだわりが強くなるので、何かに妥協して買ってしまうと、後々その点が気に食わなくなってしまい、飽きてしまうという結果になりやすいです。
なので、バイクは気に入ったものを買え、と言いますね。好きなバイクを買ったほうが、絶対に愛着がわきます。ツーリングに出かける目的の半分は、自分のバイクを愛でる時間を作るためだと思います。バイクと二人きりになって、ニヤニヤしながら自分の愛車の回りを、コーヒーを啜りながらグルグル回るのです、ライダーは皆。
では、バイクで一番気になるポイントはどこなのか、、、
はい、タイヤの太さです。
後輪タイヤは極太が正義です。旋回性が犠牲になっても、交換にお金が掛かろうと、太いタイヤが偉いのです。
どっかのメーカが、スポーツモデルと謡いながら、後輪幅130の小型バイク並みのタイヤサイズのバイクを発売していたことがあります。さすが、逆に男らしいです。
⇒これはもちろんちゃんとした理由があってです。侮辱するつもりは全くありません。
Hornet250の後輪幅は180。600ccや1000ccのスーパースポーツバイクが履いているタイヤと同じサイズを履いています。250ccなのに。
しかも、実は車体も600ccと共通なので、フレーム自体も頑丈で大きいです。
つまり、250ccにしてはとても貫禄がある。良い意味で250ccに見えないバイクです。普通に大型バイクの隣に止まっていても見劣りしません。CB400と比べると、むしろタイヤの太さでは勝ってしまっています。
ちなみに、フロントタイヤもかなり特殊なタイヤで、16インチの130幅です。
設計者が太いタイヤが好きで、ホーネット900の車体からタイヤをそのまま持ってきて、フレーム側で調整したから、という話もあるようですが・・・。
じゃあ扱いづらいんじゃないか、という心配もありますが足つきが良好で、車両重量も166kgでNinja250Rとほぼ同じ(むしろ若干軽い)車重なので取り回しもしやすいです。
実際、私が乗った時も、非常に扱いやすかった記憶があります。
当時の比較対象はZZR250でしたが、重量はほぼ同程度なので押し引きに関しては差はなし。バーハンドルなので支えやすいという点は勝っているかもしれません。
あと、乗り味について、ZZR250が低速カーブである程度まで倒すと急に倒れ込むような感覚(2字曲線的な感じです)をもつのに対し、ホーネットはゆったりと一時曲線的に倒れていきます。クイックさはありませんが、意のままに操れるって感じですね。悪く言うと、倒し込みが遅いと感じてしまうかもしれませんが、、、
少なくとも、乗り味・取り回しに関してもネガな部分は皆無です。
このように、大型車の車体を流用しているため、車格があり所有感が満たせることと、扱いに関しては250ccのままという、素晴らしい素性を持っています。
カムギアトレイン採用による超高回転エンジンを搭載
これです。
上の二つの項目が霞んでしまうほどの目玉が、ホーネットに搭載されているエンジンです。
バイクなんてエンジンにタイヤが2個ついて走っているようなものなので、どんなエンジン積むかでそのバイクのすべてが決まります・・・とまでは言いませんが、超重要な項目ですよね。
今でこそスポーツモデルに単気筒や2気筒が出てきましたが、以前は
- スポーツなら直列四気筒
- クラシックやオフ車なら単気筒
- アメリカンならV型二気筒
というようにある程度決まっていました。最近はその壁が破壊されつつあるのか、単気筒スポーツや単気筒アメリカンなんて代物も出てくるようになっています。バイク人口が減少しているのである程度部品を強要してコストダウンを図る必要があるのかもしれませんが・・・。
で、ホーネット250が出た当時はまだ『スポーツと言えば直列四気筒エンジン!』という時代でしたので、もちろん、ホーネットには当時HONDAが誇っていたMC14E型水冷4ストロークカムギアトレーン 4バルブDOHC4気筒エンジンが搭載されています。
このエンジン、何がすごいのかというと、まず250ccで4気筒になっていること。
え?昔は普通だったんでしょ?という方もいらっしゃるかもしれません。
確かに日本国内では4気筒エンジンは当時割と一般的でしたが、世界的に見れば250ccで4気筒のエンジンを作っているのなんて、国内のバイクメーカ4社程度なものです。
海外は多くても2気筒まで。そもそも4気筒エンジン自体もホンダが1969年に発売したCB750FOURが(実質的に)最初で、4気筒化の流れ自体日本が作り出したものです。
しかも日本人得意のカイゼン精神(笑)で、その4気筒エンジンを250ccにまで縮小・展開してしましました。これは、CB750から続く日本人特有のの4気筒信仰もあるのだと思います。あのヒュンヒュン回る感じが好きなんでしょうね、皆。
ということで、250cc 4気筒エンジンって超貴重なんです。
あと、4気筒化したことで生まれた副産物があります。
ご存知の通り超高回転化です。
エンジンに火を入れると回ると、エンジン内部の爆発によりピストンが高速で往復運動します。その往復運動をクランクシャフトで回転運動に変換し、後輪を回しているわけなのですが、どうしてもピストンの往復運動はピストン自体の重さの影響を受けます。慣性力ですね。
慣性力は簡単に言うと、物には運動(静止状態を含む)を続けようとする力が働きます。止まっているものは止まろうとしますし、動いているものはそのまま動き続けようとします。
ひと昔前に流行ったハンドスピナーもそうですよね。あれは軸から離れた位置に錘をつけて、力を加えてハンドスピナー本体を回した時に発生する慣性力を、軸に仕込まれたベアリングで、できるだけ長く維持する玩具です。
ピストンの場合は、この慣性力がピストンの往復運動を阻害してしまうのです。爆発により下に押し下げられたピストンはそのまま下に行こうとしますが、コンロッドとその先に繋がっているクランクシャフトに動きを阻まれ、上へ押し上げられていきます。それがエンジンの構造なのですが、その際に慣性力が非常に邪魔になります。
しかし、250cc 4気筒の場合、1気筒当たりの排気量を小さくできます。つまり、
- 1つあたりのピストンの質量を小さくできる。
- ピストン径がストロークに対して大きい。
という大きな特徴が現れます。
まず、質量が小さければ、慣性力が弱まります。ハンドスピナーの周囲の錘を取り除けば全然回転が維持されなくなりますよね。慣性が元の状態に比べてほとんど発生していないからです。しかも、ハンドスピナーを回すときに必要になる力も軽くなると思います。”止まろうとする”慣性が働かないからです。
つまり、ピストンの重量が軽いと、ピストンをコントロールしやすいのです。当たり前ですが、回転運動体では特に重要です。
また、意外かもしれませんが、ストロークが短いエンジンのピストンの往復スピードは、同一回転数であればストロークが短いエンジンの方がスピードが遅いです。
これはつまり、ショートストローク型はエンジンの回転数を上げてもストロークスピードにまだ余裕がある。ということです。
この
- ピストンの重量が軽いと、ピストンをコントロールしやすい
- ショートストローク型はエンジンの回転数を上げてもストロークスピードにまだ余裕がある
という特徴を掛け合わせると、さらなる高回転化が可能、という答えにたどり着きます。ピストンが軽いから慣性が低く、まだまだエンジン回転数を上げるられる余裕がある。同じく、ストロークが短いのでピストンスピードは比較的遅く、エンジン回転数を上げられる余裕があるわけです。
じゃあ、いけるところまで回転数上げたれや
の元、完成したのが最高回転数20000rpmという化け物エンジンです。
rpmとはrevolutions per minuteの略で、エンジンの『1分間当たりの回転数を示す単位』です。つまり、1分間で、ピストンが20000回、エンジンの中で往復運動をしています。信じられませんよね・・・。
ホーネットの場合デチューンされていますが、それでもMAX16000rpmの超高回転型エンジンです。
ちなみに、自分の車のエンジンの最高回転数ってどれくらいかご存知でしょうか?
大体7500~8500rpm前後かと思います。最近はタコメータがない車も多いですが。。。うちのNinja250Rですら13000rpmです。
それらと比べると、遥かに高回転ですね。じゃあ高回転になると何が変わるの?というと、みんな大好き馬力が高くなります。
極論、エンジンで発生する最大力(最大トルク)は排気量毎に大体決まっています。それにエンジン回転数を掛け合わせることでパワー(馬力)が算出できるのですが、同排気量で発生トルクが同じなのであれば、馬力を上げる術は回転数を上げるしかありません。だから、昔は250ccで馬力を稼ぎ出すために回転数を上げていたんですね。
ちなみに、Ninja250Rと現行CBR250RRって、排気量一緒でエンジンも並列二気筒エンジンなのに出力違うじゃん、なんでだよ、って方。トルクと馬力の数値と発生回転数を比べてみて下さい。
トルクは大体同じくらいの値を示していますが、CBR250RRの方が最高出力発生点の回転数が高いはずです。つまり、現行CBR250RRは並列二気筒で高回転化に挑戦したバイクということ。ただし、技術的な問題なのか、排ガス規制の問題なのか分かりませんが、旧CBR250RRと比べると最高馬力発生回転数は2500rpmも下で、出力も8PS程劣っています。
それくらいエンジンの回転数って大事。
でも、ここで一つ問題が。
エンジンが20000rpmとかで回ると、エンジンのサイクルである『吸気⇒圧縮⇒爆発⇒排出』という工程も超早くこなす必要があり、その為には、吸排気バルブを制御するカムシャフトの制御を緻密に行う必要があります。
通常、このカムシャフトの制御は、タイミングチェーンと呼ばれる特殊なチェーンで制御されています。自転車についているチェーンと同じものと考えてもらっていいです。
チェーンである以上、どうしてもたわみが発生してしまうのですが、普通はこのチェーンにテンションをかけて、たわみを吸収しています。ですが、これくらいの高回転になるとそれも難しい・・・そこでホンダの開発者は、
『チェーンが駄目ならギアにすればいいじゃない』
と言い放って観衆の怒りを買ってギロt・・・ではなく、解決の糸口を見つけました。
クランクシャフトの軸からタイミングチェーンを使って制御していたカムシャフトの回転を、ギアを組み合わせることで代用してしまったのです。
これがカムギアトレーンです。
厳密にはギアにもバックラッシと呼ばれる遊びがあるのですが、タイミングチェーンに比べれば動作不良を起こす可能性は低くなります。
ただし、カムギアトレーンはチェーン式に比べて動作音が大きいというデメリットがあります。このタイプのエンジン音を聞いたことがある人は知っていると思いますが、『ギュイーン、ギュイーン』という機械音が常にします。
この音、長く乗っていると結構耳障りらしいです・・・私は長期保有はしておりませんので、むしろ好きな音としか印象に残っていませんが。
ちなみに、どこかのメーカは同社の超高回転エンジンで20000rpmを達成するために、カムシャフトを気合でカムチェーン駆動で制御しているらしいです。漢らしいですね!
⇒気合かどうかは分かりません。
ちなみに・・・・
ついでなので、ホーネットのエンジンがどれだけすごいのかを、車と比較してみようと思います。
ホンダFITが排気量にして約1300ccで、馬力が丁度100PSのようです。
ホーネットは排気量250ccで、馬力が40PSです。
では、ホーネットの排気量をフィットと同じにして、馬力がその積に比例する前提で計算すると、、、ホーネット1300ccの馬力は208馬力になりました。
うーん、いまいちすごさが分かりずらいですが、208馬力というと、丁度ガソリンモデルのオデッセイアブソルートと同じくらいの馬力です。つまり、1300ccにして、Lサイズミニバンの動力に匹敵する馬力を捻り出す(計算上はw)、超優秀なエンジンということです!
まとめ
いかがだったでしょうか?
レーサレプリカ全盛期の時代に、相当なお金を掛けて開発されたこれらの技術を使って作られたエンジンを搭載する、最後のバイクがホーネット250です。
安心のホンダが送る、大型に見劣りしない車体に開発者の拘りが詰まったエンジンを搭載した素晴らしいバイクだと思いませんか?
冒頭に記載した通り、すでに生産終了となり新車購入はできませんが、まだまだ程度の良い個体を入手できます。私も手元にお金があれば1台確保するのですが・・・w
これから、250ccのバイクを買う、乗り替えるバイクを探している、貴重なバイクに乗りたいという方、いかがでしょうか?
↓バイクに乗る人は一度これを読んで、安全運転を意識してください。

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