こんばんわ、たまです。
今日はエンジンの吸排気バルブの制御方法による性能の違いについて解説したいと思います(*´ω`*)
皆さん自分のバイクがどのエンジンか分かりますでしょうか?なんでその方式が使われていると思います?実は、採用されている方式によって、エンジンの特性が変化します。
下記読んでみて、一度自分のバイクの方式を調べてみてください。愛車のことを深く知れて、愛着わくこと間違いなしです(*´ω`*)
バルブとは?
※赤矢印で指す部品が『バルブ』と呼ばれる部品です。混合気の導入と排出を担っています。
バルブという言葉、日常生活でも聞くことがあると思いますが、日本語で言うと『弁』のことで、弁体と一緒になって流体の遮断や制御を行う部品のことです。
エンジンで力を生み出すためには、エンジン内でガソリンを燃やす必要があります。その為には、ガソリンと空気を混ぜた混合気をエンジン内に正確に、迅速に供給すること、また、燃焼を終えたガス(排ガス)を速やかにエンジン内から排出する必要があり、このコントロールを行っているのが、バルブです。
(といってもこれは通常イメージするバルブとは形状が異なりますが、役割的には流体の遮断、制御を目的としているため”バルブ”と呼ばれます)
エンジン内でのバルブの動き
※Wikipediaより引用
ガソリンエンジンの動きを示しているのですが、先ほど写真で示した矢印の部品が動く様子が見て取れると思います。
カムシャフト(一番上部で回転している雫形の部品)がバルブを押すことで、画像右方向からシリンダー内へ続く混合気の通路が解放、混合気がシリンダー内で着火され、反対側のバルブから排出されています。
混合気の動きだけに注目すれば、青い混合気がシリンダー内で圧縮され、爆発・膨張し、赤い排ガスとなって排出される様子が非常に分かりやすく動きにされています(*´ω`*)
ところで、このバルブの動き、今非常にゆっくり動いており大した動きに見えないかもしれませんが、エンジンの回転数は0rpmから高速なもので20000rpmという範囲で編かします。
エンジンの回転数は別の記事でも記載した通り、エンジンの性能を決める重要な値であり、高速回転すればするほど馬力を稼ぐことができます。
そして、20000rpmという数字は、上記の動画の動きをエンジン内部で1分間に20000回という超高速動作で行っている状態なのです。
つまり、バルブの開閉動作をきちんと制御できなければ、エンジンをきちんと回すことはできませんし、バイクの性格に応じた制御方法を選択しなければ、最悪破損してしまいます。
各種方式の解説
ということで、今巷に存在するバルブの制御方法の種類と、その特性について解説したいと思います(*´ω`*)
OHV(オーバー・ヘッド・バルブ)方式
※ハーレーダビッドソンに搭載されるOHVエンジン。外部に後述するプッシュロッドが通る筒が見える。
動画を見たほうが分かりやすいので、まずは下記動画見てみて下さい。25秒くらいです(*´ω`*)
最下部のクランクシャフトに取り付けられた小ギアを介して、カムを回転させる大ギアを駆動。大ギアにはカム(雫形の部品)がとりつけられており、これがプッシュロッド(画面下から上部へ伸びている長い棒状のもの)を押すことでロッカーアームを押し上げ、バルブの開閉をコントロールしています。
このタイプはバルブがエンジン上部に設置されていることから、オーバーヘッドバルブ形式と呼ばれており、初代モンキーやカブがこの方式を採用していたようです。
※OHV方式を採用したエンジンを積んだカブC100
ちなみに、最初期のものは、バルブ自体がシリンダー横に配置されていたため、SV(Side Valve)方式と呼ばれています。
※SV方式のエンジン内部。ピストンとバルブが横並びになっているため燃焼室が広くなってしまい、効率が悪い。
SV方式からOHV方式へ変わった理由は、バルブを上部に持ってくることで燃焼室(混合気が燃える部屋)のサイズを小さくできるので放熱を抑制し、熱効率を上げることができることと、同時に燃焼のコントロールがしやすくなり、高効率・高出力のエンジンが作れるようになるためです。
簡単に言うと、OHV方式はバルブをピストンの上部にもってくることで、燃焼室を小さく、狭くでき、その結果燃焼の効率が改善され、高効率・高出力なエンジンを作ることができる方式、ということです。
一方で、想像に難しくないと思いますが、バルブを制御するプッシュロッドがどうしても構造上弱くなってしまい、さらなる高回転化が難しいという弱点が発覚。
さらなる高性能エンジンを目指し、改良がくわえられたのが、OHCエンジンです(*´ω`*)
OHC(オーバー・ヘッド・カムシャフト)方式
SOHC(シングル・オーバー・ヘッド・カムシャフト)方式とも呼びます。
こちらも動画を見てもらったほうが早いかと(*´ω`*)
OHVでクランク軸の横にあったカムが、エンジン上部に移動したことが分かりますでしょうか?動画の上部でタイミングベルトによって駆動されているのがカムシャフトで、カムシャフトが直接バルブを押し込んでいます。
※Wikipediaより 中央にまっすぐ突き抜けているシャフトがカムシャフト。その途中途中に涙形をしたカムが存在し、カムシャフトの回転によって、バルブ開閉が制御される。
OHC(SOHC)形式は、OHV形式からプッシュロッドがなくなり機械摩擦が減ったこと、慣性重量が小さくなったことで、さらに高回転・高出力化が可能な形式です。当時はまさに高性能エンジンの代名詞でもありました。現在でもこの方式を採用しているバイク、車が存在し、現在のバルブ制御方式の主流の一つでもあります。
ただし、弱点としては、カムシャフトが1本しかなく、その1本でバルブを全て制御しなければならないため、バルブを増やしにくいこと、そしてその結果、バルブを増やせない代わりにバルブ自体を大きくすると、慣性力が増して高回転での制御に問題が生じるといった点がありました。
そこで、その問題を解決すべく登場したのが、現在でも高性能エンジンの代名詞ともいえる、DOHC形式です(*´ω`*)
DOHC(ダブル・オーバーヘッド・カムシャフト)方式について
高性能エンジンの代名詞、DOHC方式について解説します。
※ちょっと見づらいですが、カムシャフトが手前と奥側に2本通っています。これがダブル・オーバー・ヘッド・カムシャフト方式です。
スポーツタイプのバイクであれば8割が、乗用車でも全体の8割程(プリウス、アクア、フィットがDOHCだったのでほとんど)がこの方式になっていると思います。
厳密に調べれば違うかもしれませんが、そこはご容赦ください。
DOHCエンジンとは、名前の通り、カムシャフト本数が、SOHCエンジンの1本と比べて2倍の2本設置されている構造です。
このカムシャフトが2本になるとどうなるのか。
まずは、カムシャフト1本当たりのカム数が減って、負担が減ります。よって、高回転化が可能。抵抗が少なくなるのでイメージはしやすいかと思います。
次に、燃焼室や周辺の構造設計が自由にできる為、様々な目的に適したエンジンを作ることができること。
SOHCは、カムシャフトと吸排気バルブの位置関係をあまりいじることができず、最適設計ができないのです。そのためにロッカーアームというリンク機構を使ってバルブ開閉を制御していたりもするのですが、駆動部に部品を追加すればするほど高回転状態での制御が難しくなります。
そして、カムシャフトが2本あることで、排気側それぞれのカムのプロファイル(カムを駆動するギアとカムシャフトの位相)を機械的に変更するVVTやカムプロファイルと同時にバルブのリフト量をも変化させるVTECといった機構と非常に相性が良いです。
これらの機構、簡単に言うと同じエンジンでも、カムプロファイルを切り替えてやることで、燃費のよい制御にしたり、より高出力の制御にしたりといった特性変更を走行中に自動で制御する仕組みのことです。とんでもないですね(*´ω`*)
この仕組みは別途記事を設けたいと思います。
ということで、対燃費エンジンから高性能エンジンまでを作り分ける(制御できる)という点においてDOHCエンジンはSOHCを超える性能を持つことになりました。
とはいえ当然ながら弱点も存在し、ヘッド周辺の重量は増し、部品点数が増すことでコストアップにつながるため、車体の重心を下げたいとき、また、コストを安価に抑えたい場合で性能を求めないようなシチュエーションでは、SOCHエンジンを採用することもあります。
ちなみにDOHCの場合、ヘッドカバーにカムシャフトのキャップがついていることがあるので、ぱっと見で分かりやすいですね。
※CB400のDOHCエンジン。カムシャフトが通る部分に金属のキャップがはめ込まれており、エンジンデザインの一つとして扱われている。
まとめ
ということで、エンジンの吸排気バルブの制御方法による性能の違いについてでした(*´ω`*)
バイクの場合は用途がはっきりしていて、スポーツモデルはDOHC、アメリカン等は出力を求めないのでSOHC(OHC)が採用されていることが多いかと思います。
私のNinja250RはDOHC方式でしたね!ライトウェイトスポーツ(ツアラーがスポーツの皮を被っているとも言われますが・・・)を名乗るバイクですので、性能を追求した方式が採用されています。
とはいえ、やはり厳密にはそれぞれのバイクによって使い分けていて、VFR1200等はホンダのフラグシップツアラーでありながら、エンジンはV型4気筒SOHCエンジンとなっています。この理由は、V型エンジンの前後長をできるだけ切り詰めるためにこの方式を採用したようです。
色々な思惑の上で選ばれているんですね(*´ω`*)
皆さま、自分のバイクに採用されている方式分かりましたでしょうか?
愛車のことを知ると、もっと愛おしくなるし、バイクに乗って走っているときのバイクの鼓動、音、反応もこういった機構から生み出されているんだな、とか考えながら走ると、自然とニヤニヤが止まらなく・・・・。
もうこっち側の人間です、おいでませー(*´ω`*)笑
ということで本日は以上!