こんばんわ、たまです。
本日は、マイルドハイブリッドについて解説したいと思います。
アイキャッチ画像は、昔スズキがエネチャージのCMで起用していた渡辺謙さんのものです。なかなか印象ありましたね、このCM(*´ω`*)
日本国内においては、軽自動車の販売台数が、自動車販売台数の4割を占めるということで、非常に大きな存在になっています。
たしかに田舎の方に行くと、普通車では到底通れないような路地もありますもんね・・・。取り回しや経済性を考えると軽自動車が売れるのも納得です(^-^;
そんな軽自動車にもハイブリッド化の波が押し寄せてきました。
ただ、このハイブリッドシステムはトヨタやホンダ式のハイブリッドシステムとは根本的に考え方が違うものです。
そこで今回は、主にSUZUKIの軽自動車に採用されているハイブリッドシステムについて解説します(*´ω`*)
マイルドハイブリッドとは?
すでに冒頭で名前が出てしまっていますが、軽自動車に採用されているハイブリッドシステムは、マイルドハイブリッドと呼ばれるシステムです。
これは、トヨタやホンダのハイブリッドシステム同様、バッテリーと駆動用モータを装備しているのですが、その容量はかなり小さいものとなっています。
その理由として、軽自動車にハイブリッドシステムを積む場合は、特に普通自動車に比べ、
- スペースの問題
- 重量の問題
- コストの問題
を、より厳格にクリアする必要があります。
1.については、スペース効率を追求する軽自動車において、普通車に搭載される大型のシステムを搭載してしまうと、車内空間にそのツケが回ってしまい、スペースを殺してしまいます。
2.について、軽自動車に通常サイズのハイブリッドシステムを積むと、車両重量が増してしまいます。これは、燃費悪化を招くだけでなく、もともと軽量な車体故に軽自動車は燃費が良いため、重量が増してしまうとハイブリッド化の利点を感じづらくなってしまうためです。
3.について、どの車にも消費者は大体の価格のイメージを持っています。軽自動車<コンパクトカー<普通車<大型車のような感じで。軽自動車に本格的なハイブリッドシステムを積むと、その分車体が高額になってしまい、顧客の選択種から外れてしまいます。
特に、スズキやダイハツといった軽自動車主体のメーカは、万が一『そんなに値段が高くなるのなら、一つ上のクラスを・・・』とユーザーが要求した場合、提供することのできる代案(普通車)が少ないため、『値段が高すぎる』、と感じさせることは、そのまま顧客を取り逃がすことに繋がります。
以上のことから、軽自動車に搭載されるハイブリッドシステムは、小型、軽量、低コストなものが要求されることとなり、それを満たすのがマイルドハイブリッドというわけです(*´ω`*)
マイルドとは”軽い”ということを意味します。
マイルドハイブリッドの仕組み
搭載されるモータについて
※マイルドハイブリッドシステム搭載のワゴンR。 スズキHPより引用。
さて、そんなマイルドハイブリッドの仕組みですが、まず、駆動用モータは通常のガソリン車のセルモーターの代わりにオルタネータ(発電機)を強化したISGモーターを駆動用モータに使います。
※スズキマイルドハイブリッドの核となるISGモータ スズキHPより引用
発電機という言葉に引っかかるかもしれませんが、発電機というものは、何らかの外力でロータを回してやれば電気を発電しますが、逆に電気を投入してやればモータになるのです。
このマイルドハイブリッドでは、エンジンを起動するためのオルタネータ(発電機)のサイズを上げ、発電機兼モータとして使えるようにしているのです。
このISGモータは、従来通りエンジンを始動させる際にも使いますし、強化されたことにより、その後の駆動にも若干のサポートを加えることができます。
『若干の』というのは、スズキHPを見ていただければ分かりますが、基本的には極低速域でのサポートのみしか行いません。
というのも、そのISGモータの出力は50N・m。
トヨタのアクアに搭載されているモータは169N・m、ホンダのフィットHVのモータも160N・mですので、出力としては1/3以下となっています。
その為絶対的な力が小さく、アクアやフィットのような本格的な補助が行えないため、クリープ時や発進加速時といった限定された域でのみ、補助を行うシステムとなっています。
搭載されるバッテリーについて
バッテリーについて、ISGモータ自体も小さなモータであるため、バッテリーもフルサイズのものは必要ありません。
ワゴンRやスペーシアに搭載されているのは下記のような小型リチウムイオンバッテリーです。
なかなか画像でサイズ感が分からないのですが、実際昔所持していたスペーシアに搭載されていたバッテリーが、小さな辞書くらいのサイズであったことから、現行型も同等の大きさと思われます。
その小さなバッテリーが、助手席下のスペースに格納されています。
(ちなみに、スズキ車の助手席下は小物入れのスペースになっていますが、その箱を持ち上げてやれば、マイルドハイブリッド用バッテリーを簡単に見ることができます。)
そのサイズから、蓄えることができる電気容量はフルサイズのバッテリーに比べ、かなり小さい事が容易に予測(10Ahということですのでフルサイズバッテリーの1/100程度の容量)でき、ISGモータの大きさも考えると、やはり補助としては微々たるもの、という印象です。
劣化版ハイブリッドシステムなのか?
こう書くと、フルサイズのハイブリッドに比べて補助システム的な印象しか持てないのですが、それが劣化版ハイブリッドシステムなのか、というと意外とそうでもありません。
スズキのマイルドハイブリッドシステムが搭載されている車種は、基本的に車体重量が軽く、思想としては『より軽量な車体にサポート的なハイブリッド』というイメージです。
対して、アクアやフィットは『通常の車体に強力なハイブリッド』とでも言いましょうか。そもそも乗せる車体からして違うということです。
スズキはこの手の軽量化が得意であり、このことがスズキが積極的にマイルドハイブリッドを採用する一因になっているのかもしれません。
しかも、ハイブリッドシステムの基本である『エンジンが苦手な低速域での補助』という意味では、マイルドハイブリッドシステムでも十分にその役目を果たせています。
ガソリン車が一番効率が悪いタイミングというのは発進加速ですので、そこを補助してやるだけでもなかなかいい燃費性能を叩き出してくれます。
実際、私の祖父母が所有している車がソリオバンディッドのマイルドハイブリッドモデルなのですが、上記システムにもかかわらず、実燃費は20km/l近くを叩き出していました。
正直驚きの数値です(; ・`д・´)
一方で、私がハイブリッド車の利点だと言っている、動力性能の向上についてはほぼ期待できません。
あくまでマイルドハイブリッドシステムは、エンジンの苦手な個所を補助するシステムであり、燃費の向上には大いに貢献するものの、車を俊敏に動かすほどの力は備えておりませんので、そちらはやはりストロングハイブリッド(アクアやフィットに搭載のシステムの総称)の方が一歩秀いている印象です。
海外でも採用されているマイルドハイブリッドシステム
ここまで読んでいただくと、軽自動車や小型自動車用のシステムなのかと思いきや、実はこのシステム自体は、ヨーロッパの自動車メーカの王手、ベンツ、BMW、そしてアウディ等といった高級ブランドのモデルにも採用例があります。
しかも、大衆向けモデルではなく高級モデルとして販売されているSクラス、7シリーズ、A8といったフラグシップモデルにです。
国内に目を向けてみても、普通車で言えばスズキのソリオシリーズはもちろん、日産のセレナやスバルのフォレスター等でも採用されていたりします。
これらの車はマイルドハイブリッドという名称をあまり用いないので分かりづらいのですが、構造的には同一です。
日本では軽自動車に多く採用されていることから、あまり性能が高いというイメージのないシステムですが、構造が簡易でもしっかり効果の出るシステムであるため、日本内外で積極的に採用されているという、実は優れたパフォーマンス(コスト、性能のバランス)を持つシステムと言えるでしょう。
まとめ
※マイルドハイブリッド搭載のスペーシアカスタム。かなり攻撃的なマスクですが、カッコイイですよね。 スズキHPより引用。
ということで、マイルドハイブリッドシステムについて解説してみました。
ストロングハイブリッドシステムに比べれば、構造は簡易でできることは少ないのですが、それゆえにコストが掛からず、軽自動車にも搭載可能なコンパクトさを有している優秀なシステムです。
考え方としては、エンジンの補助システムであり、モータのみで強力に駆動するような力は持っていないものの、その燃費性能はストロングハイブリッドシステムに迫ります。
なにより、ISGを用いることで、アイドリングストップからの復帰時にセルモータを回す必要がないため、静かに、かつ素早くアイドリングストップシステムから復帰できるという利点は、かなり大きい、と感じます(*´ω`*)
マイルドハイブリッドシステムは、日本では主にスズキが採用していますが、もし車を買いたいが、価格を安く、でもハイブリッドシステムも欲しい、という方には良い選択種となると思います。
乗り味もスムーズ、燃費も良く、車体費用も抑えられる。余ったお金でちょっと遠出してよいホテルや旅館に宿泊して思い出作り、というのもなかなか良いと思いませんか(*´ω`*)
以上です!
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