こんばんわ、たまです。
今回は、少し前に発売となった新型インサイトから搭載され、来年2月発売予定の新型FITにも搭載されることになった1.5リッターバージョンのi-MMDについて、すこし書きたいと思います(*´ω`*)
※HONDA HPより引用。2019東京モータショーにて出展された新型FIT。ハイブリッドシステムは1.5L i-MMDを予定。
トヨタのTHSから始まり、ホンダのIMAやi-DCD、日産のe-powerと、各社様々な種類のハイブリッドシステムを開発・展開してきており、それらがスペースの制約もあって最も搭載が難しいコンパクトカーサイズにまで普及してきました。
特にホンダのコンパクトカー『フィット(FIT)』に至っては、2代目から続くハイブリッドモデルであるにもかかわらず、まさかの各世代ごとにハイブリッドシステムが根本的に変わるという頭のイカれた(誉め言葉です)仕様。ホンダの苦悩が伺えますね笑。
ちなみに、具体的には下記のシステムが搭載されてきました。
- 2代目 :IMA (Integrated Motor Assist)
- 3代目 :i-DCD (Intelligent Dual Clutch Drive)
- 4代目 :i-MMD(Intelligent Multi Mode Drive) ←今回の新型(2020年モデル)
3代目に搭載されたi-DCDは、個人的には燃費も良くドライビングプレジャーも高い、最高のシステムだと思っていたのですが、やはり制御面や機械的な複雑さを十分に制御できないようで、1代で退場となってしまう模様。
参考:運転する楽しさを味わえて燃費も良い! ホンダ製の究極ハイブリッド i-DCDについて!
残念ではありますが、信頼性の高いi-MMDに置き換えるのは企業的には正しい判断なのだと思います(*´ω`*)
といっても、別記事で記載している通り、i-MMDも楽しさこそ薄いものの、システムとしては全く悪くはありませんので、熟成を重ねたi-MMDがFITと組み合わさることで、どのようなドライブフィールになるのか気になるところですね!
※ちなみに公式HPをみてみたところ、名称はe:HEVとなる模様。
これは単なる名称変更?それとも別の商品展開(プラグインや純EV等)を意識しての呼称?
という事で、今回は、注目度の高い新型フィットに搭載される最新型i-MMD(e:HEV)と、他社製ハイブリッドシステムを比較して、システムの出来について考察してみたいと思います(*´ω`*)
※現状FITのシステム情報はまだ発表されていませんので、インサイトに搭載されている1.5L版i-MMDの情報となる点はご了承ください。
各社ハイブリッドシステムのおさらい
本題に入る前に、簡単に各社ハイブリッドシステムについて解説します。
まず、トヨタのTHSについて。
燃費性能と信頼性は最優秀! トヨタのハイブリッドシステム THSⅡ の仕組みについて
初代プリウスから続くトヨタ独自のハイブリッドシステムで、エンジン出力をモータと駆動力に最適分配している。
低速域ではモータのみの駆動に、高速域ではエンジンのみの駆動に、中速域ではバッテリー残量や速度、エンジンの温度や路面状況によって適宜最適な組み合わせが判断され、常に最高の燃費が叩き出せるような仕組み。
- エンジン:駆動(主に中・高速域)・発電
- モータ:駆動(主に低速域)・発電
続いて日産のe-powerについて。
充電の要らないEVとは? 日産のハイブリッドシステム e-powerについて
電気自動車リーフのデータとパーツを流用して日産が生み出したハイブリッドシステム。仕組みとしては、エンジンで発電した電気を使ってモータを回し、タイヤを駆動するというもの。
充電の要らないEVというの名の通り、タイヤを動かすのはモータであるため、車の挙動はEVと同じとなっている。ただし、電気を供給するのはバッテリーではなくエンジンによる発電となるため、充電ではなくガソリンの補給が必要となる。
- エンジン:発電のみ
- モータ:駆動(全速度域)・発電
つづいてi-MMDについて。
燃費もパワーも最良!ホンダのハイブリッドシステム i-MMDについて
仕組的にはe-powerに近いが、e-powerがモータ駆動しかできないのに対し、i-MMDの場合は、低速は基本的にモータ駆動となるが、高速域などモータの苦手とする領域では、効率の良いガソリンエンジンによる駆動に切り替えることが出来る。
つまり、e-power以上に効率的な制御ができるシステム。
- エンジン:駆動(高速域のみ)・発電
- モータ:駆動(中低速域のみ)・発電
1.5リッターi-MMDのパワーはどれくらい? 他のハイブリッドと比べると・・・
さて、早速ですが一番わかりやすい諸元表で比較してみましょう。
i-MMDと比較するのはアクア等に搭載されているTHSⅡの1.5Lモデルと、日産のノート等に搭載されているe-power(通常タイプ)としています。
エンジン性能
i-MMDとTHSⅡに関してはエンジン性能も影響を与えますので、まずエンジン性能比較をしてみます。
どちらも排気量は1496ccとなっていますが、エンジン出力が雲泥の差です。
FITのエンジン出力がこれ本当に省燃費エンジンか?と疑いたくなるくらい高い。スポーツエンジンとはいかないにしても、ひと昔前の通常エンジンの出力に劣りません。
もしかして、FITのエンジンは燃費を追求したアトキンソンサイクルではなく、通常のサイクルなのかと疑いましたが、アトキンソンサイクルを採用している模様。
アトキンソンサイクル採用でMAZDAの1.5Lエンジンに匹敵する出力を出すというのは、さすがホンダのアースドリームテクノロジーというところでしょうか。
一方でTHSⅡは、モロにアトキンソンサイクルの特徴(低トルク・低出力)が出てしまっています。
といっても、ざっくり調べたところエンジン形式は2003年に発売された2代目プリウスと同じ型式なので、そもそもの基本設計が古いという点もあるのでしょう(^-^;
排気量は1.5Lですが、エンジン出力自体は1.0Lエンジン程度しか発生していません。
ということで、エンジン出力に関してはi-MMDの圧勝です。
モータ性能
続いてモータの性能について。
再び同じ表からデータを読み取ります。
また、モータについてはe-powerも比較可能なので同時に比較していきます。
まず、i-MMDのモータですが、ガソリンエンジンで言えば2700ccクラスのパワーを持っています。
え・・・マジで? 出力高すぎない?(; ・`д・´)
このパワーがコンパクトカーに使われる時代になった(というよりシステムの組み合わせて1.5Lでありながらこのパワーを駆動力として取り出すことが出来るようになった)というのは、時代を感じますね。。。
続いて巷でパワーがある、と話題のe-powerについてですが、モータの出力はガソリンエンジンで言うと2600cc程度です。
こちらもi-MMDと同じでこれまでのコンパクトカーの出力から考えると破格の性能です。
youtubeで加速動画も見ましたが、確かに速いですもんね、e-powerのノート。
ちなみに、e-powerは高出力版も存在するようで、そちらはノートのニスモSに搭載されており、出力は3200cc相当です。
一方、THSⅡについて、当初ライバルがIMAだった頃はアドバンテージがあったのですが、今となっては同クラス他社製HVのモータ出力と比べると力不足感が否めない。
数値的には1700ccクラスの出力であるため、コンパクトカーに搭載する分には申し分ない性能です。実際、発売当初は車体の軽さもあって、スポーツハイブリッドと揶揄されたこともあったのですが、、、
ということでモータ出力についてはi-MMD ≒ e-power >>> THSといった感じです。
燃費性能は?
さて、システムの出力の話ではi-MMDとe-powerの性能が抜きんでていましたが、燃費性能はどうでしょうか?
以前THSの性能についての記事を書いたことがありますが、THSは高出力を目指すというよりは、燃費性能を追い求めたシステムですので、良い勝負をすると思われます。
ということで、ざっと下記に書き出してみました。FITのみまだ正式値が発表されていないので参考地としてi-DCDタイプのものを掲載します。
- ノート e-powerの燃費性能:37.2km/L~
- アクアの燃費性能:38.0km/L~
- フィット(i-DCD型)の燃費性能:37.2km/L~
意外と各社差がありません。
e-powerは実燃費が悪いという話も良く効くのですが、カタログ値はフィットと同等、アクアに肉薄するレベルです。
フィットやノートに比べて、若干アクアが良い値になっているのですが、この程度の違いであればおそらく実燃費でそれほど違いは生じないでしょう。
ということは燃費で選ぶというよりは、性能で優れたものを選ぶ方がよさそうですね。
ただし、先にも書いた通り、FITはi-DCDの値で、i-MMDのタイプとなるとさらに燃費が向上するという話があります。(ある車雑誌によると40km/Lに達するとか・・・)
正式な値が発表されていない物の、アコードやステップワゴン等で他社製同クラスのシステムを軽く凌駕する燃費性能を発揮しているところを見ると、少なくとも現行アクアの燃費性能は超えてくるでしょう。
そうなると、もはやi-MMDの独壇場となりそうですね!
まとめ
ということで今回は、i-MMDと、各社が取り揃える小型車向けハイブリッドシステムの比較をしてみました。
i-MMD圧勝です。
アコードの発表時にすでにトヨタ式を超えた、と言われていましたが、こうして同じ土台に立つことで、その完成度の高さが伺えます。
まだ2020年発売の新型フィットに搭載されるシステムにインサイトと同じシステムがそのまま持ち越されるのか分かりませんが、もしそうなるとパワー・燃費共にコンパクトカーの性能とは思えないような超絶性能になりそうです。
フィットというと、3代目をリリースした直後に見舞われたリコールの嵐が記憶に新しいですが、今回は実績多数のi-MMD改良型ですし、i-DCDのようなリコールの嵐にはならないでしょう。
そうなると現在販売台数首位争いをしているプリウス、ノートを一気に抜き去って一位に返り咲く可能性大ですね(*´ω`*)
ただ、惜しむらくは新型フィットのデザインか・・・(個人的にあまり好きでない
以上、ありがとうございました!