新型 TOYOTA GR SUPRA(スープラ)を解説! スポーツカーファン待望の直6エンジンを搭載した意欲作!

自動車

こんばんわ、たまです。

 

本日は、デトロイトモーターショーで世界初披露となった新型スープラについて少し書きたいと思います。

 

何といっても今回はトヨタとBMW初の協業作業、そして人気のスープラ復活ということで、どのメディアもこぞって取材をしているようですね。下記画像がコンポーネントを共有する新型Z4となります。

その試乗レポを覗いても、これまでとは出来が違う!といった評価を見ることができ、期待が高まります(*´ω`*)

※基本コンポーネントを共有する新型BMW Z4。こちらも2019年春に日本発売となる。

 

最近、トヨタは若者向け(?)のスポーツカーである86を筆頭に、様々な車種に対してメーカチューニングを施したG’sシリーズを発表してきました。

そして2017年より、そのG’sシリーズは名称をGRに変更し、名称の統一化を図るとともに、”走りたくなる車をつくる”という理念のもと、世界中のモータースポーツに参戦するTOYOTA GAZOO Racing が極限で培った技術と情熱を惜しみなく注ぐスポーツカーブランドとして再スタートしたわけです。

 

このスープラは、このGRシリーズの最新車種となります。

 

そして、この昨今のトヨタ自動車の開発方針および対外発表から、今後の自動車社会をトヨタがどう考えているのか、このスープラやGRシリーズを強化している目的についてもすこし考察を交えたいと考えています。

 

いまだに根強い人気を持つスープラ、正式販売は2019年春頃のようですが、今回はどのような構成となっているのか、現在発表されている情報から紐解いていきたいと思います(*´ω`*)

 

 

スープラについて

※3代目 SUPRA Wikipediaより引用

 

スープラと言えば、初期型は1978年から発売が開始された、トヨタのスポーツカーです。

当初はスープラという名称はアメリカのみで、日本仕様はセリカXXという名称であったようですが、3代目以降は名称をスープラ(SUPRA)へ統一され、4代目が2002年に新排ガス規制に適応できないことから生産・販売終了となってから、長らく空白の期間が続きました。

 

※4代目スープラ(SUPRA) Wikipediaより引用

 

SUPRAの人気はすさまじく、高剛性ボディや頑丈で強力なエンジンを搭載していたため、カスタマイズに対する耐久性も高く、今でもレースベース車等で人気を博しており、中古価格も相当な値段となっています。

 

特徴としては、当時より一環として直6エンジンを搭載しており、ナチュラルな操作性が売りであるFR駆動、ロー&ワイドな車体、クーペスタイルといった、これぞスポーツカーという様相を呈していました。

 

新型スープラの特徴

では、新型スープラの外観を見ていきましょう。

 

※新型SUPRA 車体のスタイルはこれまでのSUPRAを踏襲している。

 

まず外観から分かることは、これまでのスープラ同様、2人乗りのクーペスタイルで、基本的にこれまでのSUPRAの外観的特徴を踏襲しています。

 

側面およびリアから。フロントのオーバハングが非常に長いことからも直6エンジンを積むための車体構成となっていることが分かります。

 

トヨタHPの解説によると

  • 卓越したハンドリングや安定したコーナリング姿勢を実現するため、「ホイールベース」「トレッド」「重心高」の3要素を最重要ファクターと捉え、ピュアスポーツカーとしての理想を追求しました。
  • ホイールベースは、2シーターに割り切ることで86よりも100mm短い2470mmを実現しています。
  • それにより、ホイールベースとトレッドの比は1.55という、他の量産スポーツカーと比較してもトップレベルの小さい数値を達成しており、優れた回頭性に寄与しています。
  • 重心高にも徹底的にこだわり、水平対向エンジンを搭載した86よりもさらに低い重心高を実現しました。
  • コーナリング性能にとって重要な要素の1つである前後重量バランスについても、理想とされる 50:50の配分を達成しています。

 

つまり、

①ホイールベースを短く(先代比-80mm)、トレッド幅を広く(ボディ幅となりますが、先代比+55mm)ることで、車輪位置の位置関係をより正方形へ近付け、車自体の回頭性を上げている。

②重心を低くすることに有利な水平対向エンジン以上に重心を下げるパッケージングにより、車体に安定感を寄与している。

③基本コンポーネントをBMWのZ4と共通とすることで、BMWが得意とする前後重量配分を50:50の車体構成にしている。

 

ということのようです。

車体だけ見ても、86以上のスポーツ性能が付与されているというわけですね(*´ω`*)

 

驚愕の車体剛性

そして車体構造について驚愕の文面が・・・(; ・`д・´)

 

  • アルミニウムと鉄を用いた骨格構造と、異なる素材同士の接合強度を追求したことで、86の約2.5倍ものボディ剛性を実現しました。CFRP(炭素繊維強化プラスチック)キャビンを採用したレクサスLFAをも上回っています

※レクサスのスーパーカー LFA 車体は軽量化&高剛性化の為CFRPで形成される。

 

86もスポーツカーとして仕立て上げられているのでボディ剛性は高いのですが、その2.5倍とは・・・しかもLFAをも上回るというのは驚愕です。トヨタがこのスープラに掛ける思いの凄まじさを物語っています。

 

ちなみにCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)という素材について、ご存知の方も多いと思うのですが、これは簡単に言うと繊維強化プラスチックです。

 

繊維強化したプラスチックってどういうものか?

 

似たような構造で作られたものが身近に存在します。

実は鉄筋コンクリートが同様の考えで作られたものです。簡単に言えば、コンクリートだけでは弱いため、内側に鉄骨の芯を通して強化したものが鉄筋コンクリートです。

 

コンクリートって一見強そうに見えるのですが、非常に脆いことはご存知でしょうか?

石と同じで、圧縮方向の力には強いのですが、長尺物のコンクリートに曲げ方向の力が掛かるといとも簡単に崩壊してしまいます。専門的な言葉で言うと、脆性と言いますが、これが非常に低いため脆い、ということになります。

 

コンクリートをそのまま使って建造物を建てると、日本のような地震大国では、その地震の揺れによりコンクリートに横方向(曲げ)の力が掛かり、あっという間に崩壊してしまいます。

ニュージーランドや中国の四川省で起きた大きな地震で、古い建物がいとも簡単に崩壊していた映像をご覧になられた方も多いと思いますが、これがコンクリート(やレンガ)の曲げ方向の外力に対する諸さを物語っています。

 

一方、先に書いたように、圧縮方向の力に対しては非常に耐性があるため、なんとかこれを利用できないものか、と考案されたのがコンクリートに鉄筋を芯に通して”骨”の役割を与えるということです。

これにより、コンクリートが苦手とする圧縮力以外の力を鉄筋が受けることで、コンクリートだけの構造物と比較して、遥かに多様な外力に耐えられるようになります。

現在の建築現場において、強度部材となる部分にコンクリートを使用する際は、必ずこの鉄筋コンクリートが使われていると言って良いでしょう。

これで、コンクリートの脆さを鉄筋が補って、元々の材料強度以上の強度を発揮することができるのです。

 

話を戻します。

このCFRPですが、プラスチックという名前だけ聞くと弱そうに感じるものの、上記の鉄筋コンクリート同様、プラスチック部はむしろ内部の炭素繊維を保護するためだけの部材と考えてよいほど炭素繊維が強度の大部分を占めており、その引張強度は鉄鋼の2倍、軽さは1/5以下という、これまで車に使われてきた強度部材の概念を破壊するほどの高強度・軽量部材です。(それぞれの強度は鉄鋼、CFRPの組成によるため厳密には様々存在しますが、強度/重量で考えると比較にならないほどの差があるのは確かです)

 

その為、高剛性かつ軽量な骨格を求められる一部のスーパーカーには、フレームの材料としてCFRPが使用されており、レクサスのスーパーカーであるLFAにも採用されていたのです。(最近ではプリウスPHVやカローラハッチバックのリアハッチなどに軽量化を目的に採用されているものもあります)

※プリウスPHVのリアハッチ 大量のリチウムイオン電池を搭載して増加した重量をなるべく低減させるべく、CFRPを使って車体の軽量化を図っています。

 

新型のSUPRAは、そんな超材料が使われているLFAよりも車体剛性が高いということです。

もちろん、強度を確保するためにある程度車両重量は重くなってしまっているとは思いますが、これがいかに驚異的なことであるかお分かりかと思います。

 

車体剛性が上がれば、カーブや悪路走行時にもフレームに変形が少なくなり、サスペンションが意図した動作を行うことでスポーツ性能の向上、良い乗り心地を維持できたりと、数々のメリットがあります。

 

搭載されるエンジンについて

今回搭載されるエンジンについても、これまでのスープラに搭載されてきた直6エンジンだけではなく、それとは異なるエンジンも選択種に据えられています。

※新型SUPRAに搭載される直6ターボエンジン

 

これまでのスープラは、NAとターボの違いはあれど、一貫して直列6気筒エンジンを採用してきました。

勿論、最上位モデルは直6 3.0ℓツインスクロールターボエンジンを搭載しており、最大トルク500N・mをエンジン回転数1600rpmという低回転で発生させる、扱いやすく、かつ、非常にトルクフルな出力となっており、これまでトヨタから発売されたスポーツカーのなかでも抜きんでた値になっています。

 

一方本モデルについては、トヨタが多様化するユーザーニーズへの対応や、新世代FRスポーツを幅広いユーザーへ広めたいという意図で、チューニングの異なる2つの2.0ℓツインスクロールターボエンジンを設定しています。

最高出力は、190kW(258PS)というハイパフォーマンスを実現した、軽快なスポーツ走行を楽しめるエンジンと、145kW(197PS)を発揮する、街中から高速道路まで爽快なドライビングを気軽に味わえるエンジンの2種類を準備しているとのこと。

そして、ターボの記事でも記載しましたが、ターボエンジンで注目すべきは出力ではなく、トルクです。

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後ほど公開されているスペック表を掲載しますが、エントリーグレードのモデルですら、3.0L NAエンジンを凌駕するトルクを発揮するため、一般人からすれば街乗りに限らずあらゆるシーンで十分な力を発揮するエンジンが搭載されています。

 

最高出力は落ちるものの、十分以上の出力を発揮したエンジンであることに加えて、日本国内やいくつかの販売国では、排気量によって税金が決まるため、車体の維持費が安くなるというメリットを享受することができます。

もちろん、エンジン出力が小さくとも、車体構成は最上位モデルと同様なので、優れたコンポーネントを低価格で体験できるという粋な計らい。

 

トヨタHPでSUPRAのスペックが公開されていました。

 

先ほど述べた通り、エントリーモデルとなるSZでも、トルクを見るとNAエンジンの3.2Lクラスの出力を発生しているため、十分な動力性能と言えます(*´ω`*)

そして、上級モデルになると出力・トルク共に一般の乗用車では考えられない数値になっています。

 

まさにTOYOTA渾身のスポーツカーと言えるでしょう(*´ω`*)

 

今回のSUPRAやGRシリーズから見える、トヨタの戦略について

冒頭に記載した通り、ここ最近トヨタやグループであるレクサスにおいて、スポーツモデルの開発に力を入れているように見えます。

そして、2月1日、トヨタとソフトバンクが共同出資したMONETという会社の事業をスタートさせ、トヨタは今後自動車会社からモビリティサービスに力を入れることになります。

 

モビリティというのは、自動車だけではなく電車、バス、タクシー、飛行機といったような移動道具全般のことを指します。

自動車だけでなく種々の交通機関について、トヨタのコネクテッド技術とソフトバンクのもつIoTプラットフォームを連携させ、ユーザに最適なモビリティを提案することで需要と供給を最適化し、移動における社会問題の解決や新たな価値を想像する、未来のMaaS(Mobility as a service:サービスとしての移動手段)事業を展開していく、と発表されています。

 

難しい言葉が並んでいますが、簡単に言えば、コネクテッド技術によって得られたユーザの移動データから、ユーザが移動する際に自家用車に限ることなく、様々な手段を考慮して、あなたに最適なプラン・サービスを提供しますよ、という会社を作ろうとしているのです。

 

この世の中になると、自家用車を持つ必要性が薄れる(特に都市部はカーシェアリングがますます広まる)と言われており、自動車会社は現在の体制を維持することが困難となる可能性があるのです。

 

かつて栄華を誇った2輪車が、より便利な4輪車の普及に伴って、現在そのユーザ数の低下に嘆いている状況を見れば、容易にそのような未来が到来することは予測できます。

 

もちろん、MaaSが発達したとしても移動手段としての車は必要になりますので、無くなりはしません。数は圧倒的に減りますが。

 

その時に、自動車会社としてどうすべきなのか?

 

それは、MaaSに適した自動車の開発・販売と、もう一方で、現在の2輪車同様、趣味としての高付加価値商品としての生き残りに道を開く必要があるということです。

 

かつて、アメリカの二輪市場を独占していたハーレー・ダビッドソンが、アメリカでホンダのバイクが普及したことにより、市場シェアが大幅に低下しました。

 

その状況を打破すべくハーレーが取った行動は、趣味バイクとしてのブランド化です。車体価格は高額になりましたが、趣向性の高いバイクは多くのバイク好きの心に響き、現在の地位を開いていくことになります。

 

今、自動車業界がそのような変革のさなかにあると言って良いでしょう。

 

そして、トヨタが打ち出しているGRやレクサスのFスポーツといったスポーツモデルの台頭は、まさにこのような世の中になった際に、一般ユーザへ趣味としての価値を提供するための足場固めをしている、と考えられます。

 

今後各メーカともこのような動きになっていくことが予測されますし、逆に言えば移動するだけの車を作るメーカは滅びる運命にある、というところに来ていると言えます。

 

なので、今後もトヨタやスポーツモデルや、その他趣向性を凝らした車種の投入を強めてくると思われます。

それが、MaaSが普及した末の世界で、トヨタという会社が自動車を芯にした企業活動で生き残るための方法だからです(*´ω`*)

 

まとめ

ということで、新型スープラの紹介と、スープラ発売から見える、トヨタの今後の経営戦略について記載してみました(*´ω`*)

 

車としては非常に魅力のある車で、調べれば調べるほど本当に欲しくなってしまいます。

 

詳しく記載しませんでしたが、ミッションも8速ATという現在の主流になっている多段化ATが採用されており、また、BMWとの共同開発ということもあり、否が応にも期待せざるを得ません。

 

買える買えないは置いておいて、MTモデルも用意してくれれば・・・と思うのは私だけではないと思いますが、それももしかしたら今後登場するかもしれません(*´ω`*)

 

スズキのアルトワークスなどは、当初5ATのみの展開であったアルトRSに対し、ユーザがMTの追加を強く望んだことで、発売が決まったというものですし、ユーザからの声が多く出れば、もしかしたら・・・

 

と思いましたが、姉妹車であるBMWのZ4を調べてもミッションは8ATのみということで、トヨタ単体でMTを開発してくる可能性は非常に低そうですね・・・(; ・`д・´)

※SUPRAの内装。BMW Z4と共用する部分が多い。

 

とはいえ、スポーツカーを出さないつまらない会社になった、と言われて久しいトヨタが本気を出して開発した車である事が予測されます。

そして、エントリーグレードが用意され、わたしのようなしがないサラリーマンでももしかしたら手の届く値段設定(400万円前後がエントリーモデルの価格?)になってくるかもしれません。

 

そうなると、大人数での移動は嫁の車に任せて、自分は趣味の車を持つ、というのも夢があっていいですよね(*´ω`*)

嫁にはボロクソに言われてしまいそうですが・・・

 

今回少し長くなってしまいましたが、以上です!