こんばんわ、たまです。
本日はディーゼルエンジンとガソリンエンジンの比較を行いたいと思います(*´ω`*)
※ラインナップにディーゼルエンジン仕様が存在するマツダCX-5
ディーゼルエンジンというと、ひと昔前は一部の商用車や大型車に搭載例があるくらいで、あまり乗用車に採用されている車種は多くありませんでした。
しかし、2012年にマツダがSKYACTIV Dとして、積極的にディーゼルエンジンを展開させてから一気に知名度が上昇(復活)し、今なお話題となっています。
このディーゼルエンジンというのは、ガソリンエンジンと比べると、構造が似ているようで異なり、出力特性も大幅に異なります。
その出力特性が理由で、バスやトラックといった大型の車両にに積極的に採用されているわけなのですが、その特性の紹介と、ガソリンエンジンと比べた際の利点、欠点を紹介していこうと思います。
そして、ディーゼルエンジンを乗用車に搭載することで得られるメリット・デメリットについても解説していきます。
これからディーゼルエンジンを購入されようとしている方の参考になれば幸いです(*´ω`*)
ディーゼルエンジンの特性について
早速ですが、ディーゼルエンジンの特性は下記のとおりです。
全てガソリンエンジンと比べての性能です。
・豊富なトルクを低回転域で発生するため、低回転域での力強さはピカイチ。
・使用する燃料が軽油となり、ガソリンに比べて発熱量に優れることや、動作の原理からガソリンエンジンと比べて高効率(=低燃費)。
・一方、その構造上、エンジンの各部品の重量が重くなり、馬力は低め。
・ディーゼルは短距離ユースに向かず、車両本体価格、メンテナンス費用も若干高め
簡単に各項目について解説していきたいと思います。
豊富なトルクを低回転域で発生するため、低回転域での力強さはピカイチ。
ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンと異なり、エンジン内での燃焼をプラグによる着火ではなく、圧縮熱による自然着火式となっています。
この仕組み故に、実はガソリンエンジンに比べてエンジン内部での圧縮比を圧倒的に高く設定することができます。
もうすこし厳密に書くと、圧縮したことで超高温になった空気に、燃料を直接噴射して自然着火させるのですが、これがポイント。
これがどのような効果を生むのか、ガソリンエンジンの圧縮比問題を見ながら解説していきます。
まず、ガソリンエンジンでレギュラー指定ガソリン車とハイオク指定ガソリン車が存在することはご存知かと思いますが、いったいこれらの指定は何によって決まるのでしょうか?
実は、両燃料指定の違いは、エンジンの圧縮比の差によるものであることがほとんどです。
まずはガソリンエンジンの仕組みについて。
ガソリンエンジンは空気と燃料をエンジン内に入れる前に混ぜ合わせて、”混合気”と呼ばれる状態でエンジン内に導入します。
上記画像で言えば、右から入ってくる青い空気です。これが混合気と呼ばれます。左に示される数字は下記工程を表しています。
- 混合気の吸入
- 混合気の圧縮
- 点火・膨張
- 排出
この混合気は、噴霧したガソリンと空気が理想的な燃焼を行う空燃比になるように混ぜ合わされています。
いわば、混合気は火花、もしくは燃焼するためのコンディションが揃ってしまえば、すぐにでも燃焼してしまう状態なのですが、そのきっかけとなるコンディションの一つに”温度”があります。
実は気体は圧縮すると、熱を持つようになります。
物理で学んだ方もいらっしゃると思いますが、いわゆる断熱圧縮という工程に該当します。
イメージがつきづらい方は、宇宙から飛来する隕石を思い浮かべてください。
運よく見つけられたときは心躍りますよね(*´ω`*)
実はこの光は、空気が圧縮されて発生した熱によって発生したものだったりします。
何故そんなことが起こるのかというと、隕石が超高速で地球の大気圏に突入する際に、そこに存在している空気を圧縮しているのです。
宇宙から飛来する速度は65000km/h(秒速18km/s)というとんでもないスピードが出ています。新幹線の200倍、音速の52倍くらいの速さです。
マッハ52ですね。
そんな超スピードですので、隕石の周囲の空気が一瞬で圧縮され、その結果高温が発生し、隕石自体が燃えてしまっているということです。
話を戻しますが、隕石ほどではないにしろ、エンジン内で空気(この場合はガソリンと空気の混じった混合気)を圧縮すると、温度が上昇します。
そして、ある程度圧縮率が上がると混合気の自然着火温度に到達してしまうことがあります。
こうなると、意図しないタイミングで燃焼が始まってしまい、エンジンの回転運動およびエンジン部品に悪影響を及ぼします。
これがノッキングと呼ばれる現象です。
『さぁ火を付けるか』と点火しようとしたら、直前に突然自然発火してしまって予定したタイミングが狂ってしまう、という状態のことです。
ノッキングが発生する原因は、エンジン内で圧縮された混合気が自然着火温度になるまで温度が上がってしまうことなので、これを防ぐには、
- 自然着火温度に到達しないレベルの圧縮比に抑える
- 自然着火温度自体を引き上げた燃料を使用する
という手法を用いるのが一般的です。
1.がレギュラーガソリンエンジンです。
最高性能を求めない代わりに圧縮比を下げ、レギュラーガソリンでもノッキングが起きないセッティングにしています。日本で普及している8割前後の乗用車がこちらですね。
2.がハイオクガソリンエンジンです。
主にスポーツカー等に採用されている高性能エンジンが該当します。
このタイプのエンジンは、性能を上げるために圧縮比を高める必要がありますが、圧縮比を高めると上記に記載した通り混合気の温度が上昇し、自然発火温度に到達してノッキングが発生してしまいます。
ですが、出力を求めるエンジンで、圧縮比を下げることは性能低下を意味するため、その選択種は取れません。
従って、自然発火温度がより高い燃料を採用することで、高圧縮比に適応しているのです。
これがハイオクガソリンエンジン(つまり、圧縮比を高く設定するために、燃えにくい燃料を使っている)となります。
少し話が遠回りしてしまいましたが、ディーゼルエンジンの話に戻ります。
ガソリンエンジンでは上記の通りノッキングという問題が常に付きまとうため、圧縮比をあまり高くできないというのが通説です。
ところがディーゼルエンジンというのは、空気だけを圧縮してしまい、そこへ燃料を噴射して自然着火させるという仕組みであるため、圧縮比を高くできます。
動きはガソリンエンジンと似ていますが、シリンダー中央上部についている筒状のものは点火プラグではなく、燃料のイジェクターとなります。
左から入ってきている青いものが空気で、それを圧縮して高温状態にし、超高温・高圧状態となったところへ燃料を噴射して爆発を起こしているということです。
ということで、ディーゼルエンジンが空気だけを取り込んでいることが分かると思いますが、もちろん、空気をいくら圧縮しても爆発したり燃焼したりすることはありません(*´ω`*)
なので、ガソリンエンジンに比べてより高圧状態まで圧縮することで、発生させるエネルギーを大きくすることができ、それが巨大なトルクに繋がるのです。
圧縮比は基本的にどの回転数でも変わりませんので、常にガソリンエンジンよりも高圧縮状態となり、同回転数で比較すれば大きなトルクを発生させることは容易にイメージできるかと思います(*´ω`*)
ガソリンエンジンに比べて高効率(=低燃費)
上記の通り、圧縮比を高くできるということは、エンジン内での燃焼効率が上がることとなります。
また、エンジン内部構造をみても、ガソリンエンジンに比べてロスが少ない(スロットルバルブがないため、吸気抵抗が少ない)ことや、そもそも軽油のカロリーがガソリンの114%と高い値となっているため、トータルの効率はガソリンエンジンを大きく凌ぎます。
具体的な数値を見てみましょう。
トヨタが開発したダイナミックフォースエンジン(レクサスのUXやカムリ等に搭載されている)は、ガソリンエンジンで熱効率41%を達成したと大きく報道されていました。
熱効率とは、投入したカロリー(つまり燃料の持つエネルギー)が、どれだけ動力に変換されたかを示す値で、41%というのはガソリンのエネルギーの41%がタイヤを動かす力に変わったという意味です。
逆に言えば60%弱は熱や音や振動として消えてしまっているというわけです。
こう書くと効率悪すぎ!と思われそうですが、これでもかなりの熱効率を叩き出しているのです。
2013年にアコードハイブリッドが発表された際に、熱効率が39%を超えたとしてかなり話題になりました。そこから更に1~2%近くも向上させている状態ですね。
逆に言えば、トヨタですら5年かかっても熱効率の改善は1~2%程が限界であったということです。
ちなみに、もしあなたが100入れて100のエネルギーを取り出すことができる仕組みを作ることができれば、夢の永久機関が開発可能(*’ω’*)で、考えられない程の大金を手にする事ができるでしょう!
一方でディーゼルエンジンです。
ガソリンエンジン分野で、トヨタが必至こいて達成した驚異の41%という熱効率ですが、では、ディーゼルエンジンはどれくらいの熱効率なのか?
ディーゼルエンジンの熱効率は50%弱となります。
ガソリンエンジンと比べると、かなり効率が良いですよね(*´ω`*)
ガソリンエンジンの熱効率が50%を超えるのは、今の開発スピードが続くとしても、40~50年後くらいでしょうか・・・。
そのころまでガソリン車というのが残っているのかどうか・・・。
(ところがマツダの開発しているスカイアクティブX(ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの良いとこ取り)が登場すれば、意外と早く達成されそうな気もします(*´ω`*)
ということで、ディーゼルエンジンはかなりの高効率エンジンとなるのです。
さらに燃料が軽油となるため、エコロジーかつエコノミーです(*´ω`*)
ディーゼルは構造上、エンジンの各部品の重量が重くなり、馬力は低め
上述の通り、良いことづくめのエンジンなのですが、良いところもあれば悪いところもあるということで、いくつかの欠点もあります。
ただし、全てが欠点というわけではなく、利点とも見受けられる点もありますので、ここの印象は人それぞれかと思います(*´ω`*)
ディーゼルエンジンは、空気を高圧縮するが故に優れた効率を示す素晴らしい特性があると記述しました。
つまり、エンジン内部は高圧状態になり、より強力な燃焼を起こすということになりますが、そうなると、エンジン部品のひとつひとつについて、しっかりとした強度を持たせる必要があり、個々の部品の重量が増えてしまいます。
これが、単なる車両重量の増加に効いてくるだけでなく、実はエンジンの最高回転数にも影響が出ます。慣性の話です。
エンジンのシリンダーブロック等、”うつわ(器)”となるものが強度を持つことは歓迎すべきことなのですが、ピストンやコンロッド、クランクシャフト等の稼働部品も全て重くなってしまいます。
ディーゼルエンジンが回転数を上げづらい理由の一つがこれです。
経験があると思いますが、重い物を持ち上げるときのスピードと軽い物を持ち上げるときの”持ち上げやすさ”は全然違いますよね。それは慣性が働いているからです。
慣性とは、物体がそのままの状態を維持しようとする力と思ってください。
手に野球ボールと砲丸投げの球を持って、一定時間内に上下に振り続けた場合、どちらが多く振れるかというと、明らかに野球ボールですよね。これは野球ボールが軽く、慣性力が小さいからです。
逆に砲丸投げの球は数キロの重さがありますので、上下に振るのも苦労しますが、慣性力が大きいため、動かし始めるのにも止めるにも大きな力が必要になります。
結果、砲丸の球の場合は玉を振る回数が伸びません。
これと同様に、エンジン内部で高速往復運動を行うピストンが重くなると、その慣性力は非常に大きなものとなります。
そうなると、ディーゼルエンジンを速く回転させるためには、重いピストンをしっかりと支えるコンロッドが必要となりますが、それもさらに強度を持たせるために、大きく重くする必要があります。
すると、そのコンロッドを繋ぐクランクシャフトの軸も太くしなければならない・・・という風に、ディーゼルエンジンの強力な爆発力に耐えるには、各パーツの強度を上げなければならず、重量がどんどん増えてしまいます。
すると、野球ボールと砲丸投げの球の例でいう、砲丸のようになってしまうわけです。
内部パーツが軽いガソリンエンジンは高回転化に向いており、内部パーツが重いディーゼルエンジンは高回転化に向かない、という物理的な問題に直面することとなります。
また、燃料の燃焼速度にも差があり、ディーゼルエンジンは自然着火としているため、燃焼速度のコントロールが容易ではありません。これも高回転化が難しい一因です。
高回転化ができなければ、先日記載した記事の通り、馬力を上げることができません。
なので、せっかくの大トルクを低回転でも発生しているのに、回転数が挙げられないため馬力を稼げないという特徴があります。
一方、これは、見ようによっては利点ともなります。
ディーゼルエンジンの導入の際に、低速トルクに優れているためバスやトラックなどの大型車両に採用されていると書きました。
何故か?
バスやトラックが求めるエンジン特性は下記のようなものです。
- 車両重量および客や荷物を載せた最大重量が非常に大きくなることから、低回転域で巨大なパワーが必要になる。
- 一方、高速走行(140km/hとか160km/hとか)が求められることは少ないため、高回転での馬力は必要としない。
ということで、これら大型車両に限って言えば、回転数を上げて出力を稼ぐガソリンエンジンよりも、低回転で巨大なトルクを発生させるディーゼルエンジンの方が、理にかなっているのです(*´ω`*)
ディーゼルは短距離ユースに向かず、車両本体価格、メンテナンス費用は若干高め
ディーゼルエンジン搭載のバス 日野レインボーⅡ https://www.hino.co.jp/rainbow_2/index.html
ディーゼルエンジンは、上述した通りガソリンエンジンに比べて特殊な構造となっており、車両価格は高くなります。
専用の補器類や、システムの核となる特殊な燃料噴射装置が必要になることもその一因です。
また、エンジンに使用するエンジンオイルもディーゼルエンジン専用品となるため、通常のガソリンエンジン用オイルに比べると、価格が高くなります。
少し前にマツダがリコールを出していましたが、エンジン内部に煤が溜まってしまい、エンストを起こすという内容でした。
ディーゼルエンジンは構造上、どうしても煤が発生しやすくなっており、それがエンジン流路内部に蓄積されるのだそう。
もちろん、蓄積されたカーボンを除去するシステムも組み込まれてはいるのですが、それは長距離走行やエンジンをしっかりと回してやった際に駆動する機構(DPFという装置を使って物理的に煤を燃やしてしまう)であるため、長距離運転を主とするのであれば、それほどひどくはならないようですが、日本のユーザーは殆どの方が短距離ユースであり、問題が発生してしまっている模様。
ということで、少し乗る人を選ぶエンジンでもあります(*´ω`*)
元々大型車用に最適化されているエンジンですので、使用用途についてはバスやトラックのように長時間、長距離の走行をしてこそ、その真価を発揮するということですね。
逆に言えば、長距離ユースが多い方には鬼に金棒のシステムです(*´ω`*)
ディーゼル車とガソリン車の出力の比較
ここまでディーゼルエンジンの特徴について記載しました。
低回転でのトルクが大きいことがディーゼルエンジンの一番の特徴ですが、ここからは乗用車に搭載されるディーゼルエンジンの性能をみて、ガソリンエンジンとどちらが速いエンジンなのか比べてみたいと思います(*´ω`*)
比較が容易な1.5Lエンジンを持ってきて比べてみましょう。
ガソリンエンジンはFITの1.5Lエンジンを、ディーゼルはデミオの1.5Lディーゼルエンジンを比較していきます。
デミオ1.5Lディーゼル VS フィット1.5Lガソリン
まずは、ホンダのフィットの出力について。
- 最高出力(kW[PS]/rpm):97[132]/6,600
- 最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):155[15.8]/4,600
このような感じです。実は馬力については同クラスの他メーカよりも高出力ですが、トルクについてはそれほど差はありません。
まぁ一般的なエンジンと考えてよいかと思います。
そして、次はデミオに搭載される1.5Lディーゼルエンジンを見てみましょう。
- 最高出力(kW[PS]/rpm):77[105]/4,400
- 最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):250[22.4]/1,400~3,200
まずは馬力から。
最高出力はフィットに比べると低く見えますが、実はトヨタのヴィッツなどに搭載されている1.5Lエンジンとはほとんど変わらない値となっています。
ただし、最高出力発生回転数に注目してください。
4,400rpmとフィットのガソリンエンジンよりも2,200rpmも低いポイントで最高出力が発生していることが分かります。
では次にトルクを見てみましょう。これはかなりの差がありますね。
フィットのトルクは15.8kgf・mということで、1.5Lエンジンで言えばまぁそれなりな値なのですが、デミオのエンジンは22.4kgf・mという2.2Lのエンジンに匹敵するトルクを発生しています。
しかも、トルクの発生回転数は1,400rpm~3,200rpmと極低回転数での発生となっています。このことから、最高出力の発生回転数も低くなっているのですね。
ということで、この両車を比較した場合、ガソリンエンジンの出力で言えば、
- フィットは1.5Lエンジンの出力を発揮
- デミオは2.2Lエンジンの出力を発揮
していることが分かります。
この数値を見ると、デミオに搭載されているディーゼルエンジンが圧倒的に高性能で、優秀なように見えますが・・・・果たしてそうなのでしょうか?
実は、搭載エンジンに注目した場合、この比較はあまりフェアではありません(; ・`д・´)
ディーゼルエンジンは基本的にターボ加給されている。その理由は・・・
※マツダのクリーンディーゼル、スカイアクティブ-Dに組み込まれるターボチャージャー
車のクラスを考えれば、フィットやデミオはともにコンパクトカーなので、対等な比較と言えるのですが、エンジン性能だけを比較する場合この両者の比較は圧倒的にフィットが不利です。
というのも、今市販されているディーゼルエンジンは、ほぼほぼターボチャージャーで加給されています。
その理由はターボチャージャーとディーゼルの相性がとても良いからということ、そして、実はノンターボのディーゼルエンジンはあまりにも低回転域にトルクが寄りすぎていて乗りづらいため、ターボ加給してトルクと馬力を底上げしているのです。
前述した通り、ディーゼルは混合気ではなく空気を圧縮し、そこへ燃料を噴射することで燃焼を起こします。
したがって、ガソリンエンジンと異なり、高圧状態になってもノッキングが発生しえないという構造上の強みがありますので、ノッキングの発生におびえながら圧縮比を下げているガソリンターボと違って、気兼ねなくターボを使うことができるのです。
これにより、ネックとなっていた低回転でのトルク特性を幾分か高回転側へ引っ張ることができ、より実用的なディーゼルエンジンとすることができました(*´ω`*)
ということで、現状のディーゼルエンジンにはターボ加給がほぼ使用されていますので、よりフェアな比較とするために同排気量のガソリンエンジンと比較してみたいと思います。
デミオ(1.5L ディーゼルターボ) VS シビックハッチバック(1.5L ガソリンターボ)
不思議な比較と思われるかもしれませんが、車体の大きさは別にしてエンジンの排気量、形式およびターボという条件においてはこの比較が妥当だと思います。
両車の差はディーゼルエンジンかガソリンエンジンかという点。
ターボは両車ともついていますし、排気量も1.5Lで同一です。
ではデミオ1.5Lディーゼルとシビックハッチバックのスペックを持ってきましょう。
(両社ともカタログスペックで出力が大きいほうのミッションタイプを選んでいます)
デミオ[AT仕様]
- 最高出力(kW[PS]/rpm):77[105]/4,400rpm
- 最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):250[22.4]/1,400~3,200rpm
シビックハッチバック[MT]
- 最高出力(kW[PS]/rpm):134kW[182PS]/5,500rpm
- 最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):240N・m[24.5kgf・m]/1,900-5,000rpm
それぞれの加給圧が分からなかったので、もしかしたらそこに違いはあるかもしれませんが、上記スペックを見ることで各エンジンの特性が分かります。
ディーゼルターボはガソリンターボに比べて、より低回転から最大トルクを発揮するもののパワーバンドが狭く、回転数も上がらないため馬力も頭打ちになります。
一方のガソリンエンジンは、最大トルク発生地点はディーゼルよりも遅れるものの、パワーバンドは広く、また、回転数もより高回転まで回すことができる為、最高出力が大幅に上回っています。
つまり、ガソリンにしろディーゼルにしろ、双方ともターボチャージャー付のエンジンで比較した場合は、トルクに有利とされるディーゼルエンジンでも最高出力についてはガソリンエンジンに劣るということです。
最近ディーゼルの優位性を示すためにフィットとデミオを比較するような記事が大量にありますが、そもそもNAとターボなので出力に大きな差があるのは当たり前なのです。
そして、どちらもターボを装着した場合はガソリンエンジンとディーゼルエンジンの差は少なくなり、最終的には元々の特性の差である『低回転域が得意』か『高回転域が得意』かに落ち着くというわけです(*´ω`*)
ディーゼルターボ VS ガソリンターボ 加速勝負
さて、だいぶ引っ張ってしまいましたが、じゃあ結局どっちが速いのか?という話を。
ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの比較として、上記で挙げたデミオとフィットの加速を比較してみます。
これについては大変分かりやすいことに、加速動画がyoutubeにアップされていますので、それを見れば一目瞭然です。
まずはデミオディーゼルから。
0-100km/h加速は9.4秒でした。
プリウスより少し早いくらいの加速ですね。
続いてシビックハッチバックの加速です。
0-100km/h加速は7.59秒でした。
ディーゼルターボを備えるデミオよりも約2秒速いですね。実際ヨーイドンをすればかなりの差になると思います。
トルクは同程度発生していますので、馬力の差ですね。
そして、デミオはディーゼルエンジンらしく、低速は速度が乗るのが速いのですが、伸びがそれほどでもなかったように見えます。
車両重量を比較すると、デミオが1200kgほど、シビックが1350kg程でしょうか。
別段シビックが軽いというわけではないので、やはりシビックの1.5Lガソリンターボエンジンが加速勝負については有利に働いているということだと思います。
もう一点。実はシビックハッチバックは海外で1.6Lディーゼルエンジン搭載車もあります。
ついでにこれの加速も見てみましょう(*´ω`*)
スペックは下記のとおりです。
シビックハッチバック[1.6L ディーゼルターボ]
- 最高出力(kW[PS]/rpm):88kW[120PS]/4,000rpm
- 最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):300N・m[30.6kgf・m]/700-4,500rpm
ガソリンターボモデルと比べて馬力は60馬力低下、トルクは6kgf・m(60 N・m)増加しています。
ディーゼルモデルについても動画を拾ってきましたので、100km/h到達時間を比べてみて下さい(*´ω`*)
動画は秒数の表示がありませんが、私がサクッと計測した感じでは10秒弱くらいのスピードです。
公称によると、0-100km/h加速は9.8秒(ハッチバック)とのこと。
やはり同車種で若干排気量が多いディーゼルモデルでも、加速勝負ではガソリンターボに軍配が上がるようですね。
結論:同排気量のガソリンターボとディーゼルターボをヨーイドンした場合は、ガソリンターボが圧倒的に速い。
一方、ディーゼルは0-100km/hまでの加速はそれほど早くもないのですが、低速域でのトルクが豊富なので、アクセルONで『クワッ』と車体を後ろから押されるかの如き、力強さを感じることができると思います。
なので、ストップアンドゴーの多い街中での運転は快適に行えますし、高速走行についても豊富なトルクを生かしてエンジン回転数を抑えられるため、燃費向上も期待できます。
燃費はどっちが良い?ガソリンターボとディーゼルターボの燃費を比較
これはもうイメージできると思いますが、ディーゼルターボの方が燃費が良くなります。
これまでいろいろと説明してきましたが、基本的にディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりも熱効率が良いです。
また、ディーゼルエンジンは低回転域で大きなトルクを発生させることから、燃焼効率の高いポイントが低回転側に寄っています。
なので、ある程度の回転数回さないと燃焼効率の高いポイントに届かないガソリンエンジンと比べると、低速域で力を発揮できることから無駄な回転数の上昇を防ぐことができます。
加えて、定速走行時はガソリンエンジンに比べて豊富なトルクによりギア数を高段にすることができる為、高速走行時にも燃費に有利に働きます。
実際みんカラや価格.com等の評価を見てみても、その燃費性能にはかなり高い評価がついています(*´ω`*)
とどめに燃料は軽油なので、単価も安いと。
初期投資は高いですが、豊富な低速トルクを持ち、燃費、燃料代が安く済むディーゼルエンジンに注目があつまっているのも納得です(*´ω`*)
ガソリンとディーゼルエンジンの良いとこどりなエンジンをマツダが開発中!
なんと、上記で説明したガソリンエンジンとディーゼルエンジンの良いとこ取りな新型エンジンをマツダが開発しています。
下記記事で纏めていますので、良ければ一度読んでみてください(*´ω`*)
まとめ
ということで、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりも速い?燃費はどうなの?というタイトルで記事を作成しました。
結論だけ書くと、速さの比較をするのであればディーゼルターボエンジンとガソリンターボエンジンの比較をするのが正解で、その両者であればガソリンターボエンジンに軍配が上がる。
ただし、燃費を比べた場合は元々燃焼効率が良く、低回転で大トルクを発揮するディーゼルエンジンが有利。
絶対的な速さを求めるのであればガソリンターボ。
豊かなトルクによる余裕の走りと経済性を求めるのであればディーゼルターボ。
という感じですね(*´ω`*)
次回はこれからの主役になって来るであろうEV(とそれに準ずるハイブリッドシステム)の加速性能について記載したいと思います。
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最後までご覧いただき、ありがとうございました(*´ω`*)