流行のダウンサイジングターボは燃費を求めただけじゃない!知って驚くその加速性能とパワーについて

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こんばんわ、たまです。

 

 

本日は、その車は速い?遅い?の第2弾として、NA(自然吸気エンジン)とターボの出力の違いについて解説します(*´ω`*)

 

この二つの名称ですが、軽自動車を検討されている方はよく耳にされるかと思います。

 

最近はダウンサイジングターボをはじめ、様々な車種に採用例が増えているため大体のイメージはできると思いますが、エンジンパワーを増大させる装置が付いたものをターボ車と言います。

 

一方、NAというのはターボ無し、いわゆる自然吸気のエンジンという意味です。

 

これらのエンジンの違い、そしてターボエンジンとはどのような性能をもつエンジンなのかご存知でしょうか?

 

今回も、エンジンの性能曲線を使いつつ、NAエンジンとターボエンジンの比較、および、秘められたターボエンジンの本当の性能について解説を進めていきたいと思います(*´ω`*)

 

基本:NAエンジンとは?

NAエンジンという言葉を聞いたことがあるでしょうか?

 

一般的な車は殆どがこのNAエンジンを搭載しています。

フィットやヴィッツ、ハイブリッドカーに搭載されているエンジンもこのNAエンジンと言われるものです。

 

これは、導入で記載した通り自然吸気エンジンというものですが、『Natural Aspiration』の略となります。

 

エンジンは空気とガソリンを混ぜた混合気を内部で圧縮・燃焼させて力を生み出しているわけですが、この空気を、”普通に取り込むエンジンタイプ”を指します。

 

前回の解説で用いた性能曲線を用いるならば、こういった形状の性能曲線を示します。

 

 

このタイプは、全体的にトルクの変動が少なく、馬力はなだらかに上昇しています。

癖のない扱いやすいエンジンと言えるでしょう。

 

 

基本:ターボエンジンとは?

ではターボエンジンとはどういったものなのか。

 

ターボエンジンは、NAエンジンと異なり、空気をターボチャージャーを用いてあらかじめ圧縮してからエンジン内に吸入するエンジンを指します。

 

なかなか見る機会はないと思いますが、エンジンの隅に小さなカタツムリ状のパーツがついており、その中に組み込まれているインペラ(小さな扇風機のようなもの)を回すことで、吸い込んだ空気を圧縮することができます。

 

※ターボチャージャーの一例 引用:http://www.avoturboworld.jp/

 

ターボエンジンの仕組み

吸い込む空気をこのターボチャージャーで圧縮してやると、何が良いのか?

 

エンジンというのは、吸い込んだ空気とガソリンを混ぜて、シリンダー内にて圧縮した状態で爆発・燃焼させることで大きな力を生み出しています。

 

※Wikipediaより引用

では、そのエンジンで発生する力(トルク)をさらに大きくするためにはどうすればよいか?

 

簡単なことですが、エンジンの中での爆発力が大きければ大きいほど、より巨大なパワーを出すことができるので、排気量を増やしてやればいいのです。

 

排気量とはシリンダーのボア×ストローク×気筒数で表されるエンジンの容量のことです。

フィットであれば1300ccや1500cc、プリウスであれば1800ccという値が排気量となります。

 

これを2000ccや3000ccといったように拡大することで、より大きなパワーを発生させることができますが、これを行うと、エンジンの大型化、重量増加を招き、車体を大きくせざるを得なくなってしまいます。

 

 

そこで、サイズをそのままに、パワーを増大できるようにしたのがターボエンジンです。

 

 

軽自動車を例にして考えましょう。

軽自動車の定義は

  • 現在の軽自動車の規格は、排気量660cc以下、長さ3.4m以下幅1.48m以下、高さ2.0m以下の三輪および四輪自動車

となっています。

エンジンの排気量も660cc以下と決まってしまっているため、パワーを大きくしようとしても排気量を上げることができません。

 

ご存知かと思いますが、最近の軽自動車は様々な機能の搭載や車体の大型化によって車両重量が増し、660ccのNAエンジンのパワーでは十分な動力性能を得ることができなくなってきています。

 

そこで、排気量を変えずにパワーを増強する手法としてターボエンジンが採用されています。

 

 

さきほど、ターボエンジンはターボチャージャーによって吸入する空気をあらかじめ圧縮して吸気しているエンジンであると書きました。

 

なぜ吸入前に空気を圧縮するのかというと、圧縮することで空気の体積が減り、おなじ容量のシリンダーに、より多くの空気を取り込むことができるのです。

 

より多くの空気が取り込めるということは、より多くの燃料を噴射してやれば、排気量は同じまま、より大きな力を取り出すことができます。

 

つまり、疑似的に排気量を増やした状態にしているのがターボエンジンです(*´ω`*)。

 

 

ターボエンジンの性能曲線について

ではここで、ターボエンジンの性能曲線を見てみましょう。

 

先ほどは軽自動車を例に出しましたが、同排気量での比較がしやすいように、スバルのWRXSTIに搭載されている2.0Lターボエンジンの特性を示します。

 

 

これまでの図と明らかに違う点があります。

 

ターボエンジンは、エンジンで発生するトルクの盛り上がりが大きく、このエンジンの場合だと、2500rpm~4500rpmまで、ほぼ最高トルクを発揮し続けています。

 

これがターボエンジンの出力の特徴なのですが、ターボチャージャーで空気を圧縮して送り込むことで、比較的低い回転数からでも巨大なトルクを発生させることができ、そのトルクを長期間維持(むしろ機械保護のために抑制した結果のフラットトルク)することができるのです。

 

そして、ターボエンジンの生み出す巨大トルクが馬力にどのような影響を与えるのかを見てみます。

 

前回の記事に書いた通り、馬力はトルク×エンジン回転数ですので、低回転から巨大なトルクを発揮するターボエンジンの出力は、低回転から急激に盛り上がり、同排気量のNAエンジンをまったく寄せ付けない出力を発揮していることが分かります。

 

 

下図にBRZの高出力NAエンジンとWRX STIに搭載されている高出力ターボエンジンの性能曲線を重ねて表示してみました。

 

濃い色がターボエンジン、薄い色がNAエンジンです。

段違いの出力ですね(*´ω`*)

 

最大トルクは倍に、馬力も1.5倍の数値を示しています。

前回の記事で非常に優秀な値をしめしたBRZのエンジンですら赤子のようです・・・。

 

 

このように、ターボエンジンというのは吸入する空気を圧縮してエンジンに送り込むことで、疑似的に排気量を上げて、より大きな力を生み出せるようにしたエンジンのことで、NAエンジンと比較して、大幅な性能アップを果たしつつ、エンジン本体の大きさにはそれほど変更が生じないという、高出力かつコンパクトなエンジンなのです(*´ω`*)

 

最高出力だけじゃない!ターボのもう一つの卓越した性能とは?

さて、ここまででターボエンジンの出力の高さを紹介しましたが、一方で、同出力を示すNAエンジンとターボエンジンの出力に差はあるのか?という点について解説します(*´ω`*)

 

  • 出力もトルクも同じなら同じ性能でしょ・・・?

 

と考えてしまいそうですが、実際どうなのでしょうか?

 

ここでは、うまい具合にほとんど同じカタログ数値をもつNAエンジンとターボエンジンをを展開している、ホンダのステップワゴンからデータを持ってきました。

まずは、それぞれのエンジンの性能を数値比較してみます。

 

RKステップワゴンに搭載される2.0L NAエンジン

  • 最高出力: 114kW[155PS]/6,000rpm
  • 最高トルク:188N・m[19.2kgf・m]/4,500rpm

 

RPステップワゴンに搭載される1.5L ターボエンジン

  • 最高出力: 110kW[150PS]/5,500rpm
  • 最高トルク: 203N・m[20.7kgf・m]/1,600-5,000rpm

 

排気量が500cc違いますが、1.5Lエンジンはターボ化により、2.0Lエンジンと同レベルの出力を確保しています。

 

これだけ見ると、排気量を落としてもターボ化することで、なんとか2.0L NAエンジンと同等の性能を確保できた・・・と思ってしまうかもしれませんが、実はエンジンの性格がかなり異なっています。

 

 

一見同じ出力と思える両車のエンジンの性能曲線を重ねて見てみましょう。

 

赤色がトルク、青色が馬力を示しており、濃い色が1.5Lターボ、薄い色が2.0L NAエンジンを示しています。

 

馬力の値は多少の違いこそあれ、同程度の値を示していますが、注目すべきはそのトルクです。

 

全域で2.0Lエンジンのトルクを上回る値を示しており、しかも最高トルクが1500rpm~5000rpmという、常用域ほぼ全域で最高トルクを発揮しています。

 

馬力は同程度の為、最高速はおそらく変わらないのですが、低回転から高回転まで全域で2.0L NAエンジンモデルよりもトルクフルな走りをすることができます。

 

つまり、動力性能は1.5Lターボを搭載するステップワゴンの方が、圧倒的に上であり、しかも排気量が少なく、2.0Lエンジンに比べて燃費にも優れると良いことづくめです。

 

このエンジンは典型的なダウンサイジングターボといえるもので、排気量を小さくして低下した出力をターボで補うことで、これまで同様のパワーを発揮し、かつフリクションを抑えることで更に燃費を向上させるという目的のものですが、そんなエンジンでも元のエンジンの性能を大幅に上回っているのです(*´ω`*)

 

それこそもうワンクラス上のエンジンの性能に匹敵するほどに・・・

 

この話、ダウンサイジングターボの記事でも詳しく記載していますので、よければそちらもご覧下さい(*´ω`*)

 

ハイブリッドに負けず劣らず優秀なダウンサイジングターボについて。トヨタやホンダで採用している車も併せて紹介!
今回は、ダウンサイジングターボについて解説します。 世界的な流れに合わせて、最近日本車の中でもこういったダウンサイジングターボが広がってきておりますので、カタログでは解説してくれない優れた特徴と、気になる燃費について解説したいと思います(*´ω`*)

 

 

まとめ

ということで、ターボエンジンの出力について特徴と、あまり知られていない隠れたパワーについてお話しさせていただきました。

 

まとめると、

  • ターボエンジンは、疑似的に排気量を拡大したのと同等の出力を得られるエンジン
  • 同排気量のNAエンジンとターボエンジンを比較すると、チューニングにもよるが劇的な出力の差が生まれる
  • ターボエンジンの知られざる特徴として、出力の高さだけではなく、トルクの立ち上がりの速さとその維持範囲の大きさ。出力の数値が同じでも、そのパワーはワンランク上のエンジンに匹敵する性能を持つ。

 

といった感じです。

 

ターボエンジンを見るときは、単純な出力だけでなく、最高出力発生回転数の数値を見て、常用域でのトルクがどれくらい確保できているかをよく見ると良いでしょう(*´ω`*)

 

出力値が同じでも、ステップワゴンの1.5Lターボエンジンのように、実は2.0L NAエンジンを大幅に上回る出力を持つ、まさに”羊の皮を被った狼”的なエンジンが沢山隠れていますので(*´ω`*)

 

 

 

さて、次回はハイブリッドに迫る燃費と強力なトルクでなにかと話題のディーゼルエンジンを、ガソリンターボエンジンと比較して、いったいどちらが速いのか?という内容で記事を一つ作りたいと思います(*´ω`*)

 

 

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました(*´ω`*)