こんばんわ、たまです。
皆さんは車を選ぶときに何を基準にされてますか?(*´ω`*)
まずは外観や内装が気に入るかどうか、利便性、ユーティリティが充実しているかどうか、そして、その車がどれだけパワーを持っているかどうか、という点を確認されるのではないでしょうか?
このうち、外観や利便性といった項目は、外観やパンフレットで容易に判断できますが、車の持つパワーについては、外観や数値からではなかなか判断できません(*´ω`*)
車のパワーは恐らく試乗によって体感する他ないのですが、試乗でエンジンの性能を全開まで発揮するシチュエーションに逢うことはまずないと思います。
その結果、ディーラーをでて周囲をぐるっと一周回って、『これならパワーも問題ない!』とその場では感じても、実際に自分で様々なシチュエーションで使うに沿って、『パワーがもうちょっとあればなぁ・・・』なんて感じることもざらにあるかと思います。
そういったことを防ぐために、今回は、カタログスペックから、ある程度その車の動力性能を知る方法をご紹介したいと思います(*´ω`*)
とはいっても、車のパワーの感じ方は人それぞれですので、私の記事内でパワフルと記載があっても、実際乗ってみるとパワー不足を感じた、ということは十分にあり得ます。
普段WRXシリーズやハリアー等の2.0Lハイパワーターボ車に乗っている方は、おそらくアコードやカムリクラスのハイブリッドシステムでも動力性能に不満を感じるでしょう。
逆に、普段軽自動車に乗っている方が、フィットハイブリッドに乗ると、その加速性能に驚愕されると思います。
なので、パワー感というのは、人によって感じ方が異なるということをご理解の上、読み進めていただけると幸いです(*´ω`*)
まずは基本。諸元に書いてあるエンジンの出力について
車のパワーについて語る前に、まずはエンジンの出力について簡単に解説します(*´ω`*)
※シビックタイプR(FK8型)に搭載される2.0L高性能ターボエンジン。4Lクラスに匹敵する巨大なトルクが特徴。
まず、エンジンのパワー(トルクと馬力)の他、種々の情報がどこから読み取れるのかというと、車のカタログの最後の方に、必ず主要諸元という項目が載っており、そこにその車の情報が詳しく記載されています。
他のエンジンとの比較のしやすさで、インプレッサに搭載されているFB20型の2.0リッターエンジンの諸元を用いて解説を行いたいと思います(*´ω`*)
左側が1.6Lエンジン、右側が2.0Lエンジンですね。
上図の赤枠部分にご注目ください。
ここの記載を抽出すると、
- エンジン最高出力(KW[PS]/rpm) :113[154]/6,000
- エンジン最大トルク(N・m[kgf・m/rpm]) :196[20.0]/4000
となります。
rpmとはそのエンジンの1分間当たりの回転数(revolution/rotation per minute )を指します。
〇〇PS/6000であれば、エンジンの回転数が6000rpmの時の値、〇〇PS/5000であれば、エンジン回転数が5000rpmの時の出力値です。
つまりこの諸元は、2.0Lのガソリンエンジンで、エンジン回転数が6000回転の時に最高出力113kW[154PS]を発揮し、4000回転の時に最大トルク196N・m[20.0kgf・m]を発生するという意味です。
これがこのインプレッサスポーツの2.0Lモデルに搭載されているエンジンの性能です(*´ω`*)
この回転数と最高出力の関係、後々重要になってきますので心に留めておいてください。
トルク(N・m[kgf・m])と馬力(kW[PS])の違いは?
さて、次はなぜ1つのエンジンについて、パワーの表記が2つもあるのか解説します。
上の表は先ほど記載したインプレッサスポーツの2.0Lモデルに搭載されるFB20型エンジンの性能曲線です。
転がっている表を持ってきても良かったのですが、せっかくなので、発生トルクと回転数からエクセルで簡易的に線を引いてみました。
記載した通り、エンジンのパワーにはトルクと馬力の表示があります。
ただ、これらはどちらもエンジンが生み出す力を示しているのですが、その意味が異なります。
トルクとは?
まず、トルクについて。
トルクというのは、このエンジンの場合、下記の値です。
- エンジン最大トルク(N・m[kgf・m/rpm]) :196[20.0]/4000
物理でもよく出てくる言葉なので、おそらくほとんどの方が聞いたことがあると思うのですが、このトルクというのは簡単に言えば、単純にエンジンが生み出す力です。
燃焼室で発生した爆発により、ピストンがクランクシャフトを押す力ですね(*´ω`*)
イメージがつかない方は、自転車を思い浮かべてください。
自転車でいうと、トルクというのはペダルを漕ぐ力であらわされます。
絵が下手で申し訳ないのですが、こんな感じです。
このペダルを漕ぐ力をトルクと言います。
馬力とは?
では、トルクに対して馬力とはどんな力か?
FB20型エンジンだと、下記の値です。
- エンジン最高出力(KW[PS]/rpm) :113[154]/6,000
この馬力というのは下記の式によって算出できます。
馬力(kW(PS)/rpm) = トルク × 回転数
つまり、どれだけのトルクでどれだけの回転数でペダルを漕いだ結果、どれだけの仕事をしたかを示しています。
再び自転車をイメージしてください。
一定の力でペダルを漕ぎ続けると、タイヤが回って自転車が一定距離進んでいますよね。
上の式に当てはめると、トルク(足で蹴る力)×回転数(ペダルの回転数)=馬力となり、この自転車に乗った人が単位時間内に行った仕事が馬力であるということがイメージできるかと思います。
【簡単!】トルクと馬力の簡単なイメージの仕方
トルクと馬力に関しては、上記の通りなのですが、で、車のパワーがあるのかないのかどう判断すればよいのか、というのが分かりづらいかと思います。
ただし、トルクと馬力を簡単にイメージできる方法がありますので、それを記載しておこうと思います。
この考え方に基づいて、私は自分が欲しい車が、私の求めるパワーがあるかどうか、という事を推測するようにしています。
トルクはエンジンの力強さ。排気量によってほぼ決まる。
まずトルクについてですが、先ほど記載した通りエンジンが生み出す力そのものです。
その力は、実は排気量によってほぼ決まります。
ざっくりですが、排気量÷100=トルクkgf・mとなります。
先ほど例に挙げたFB20型エンジンのトルクは排気量2000ccで、ちょうど20kgf・mでしたね。
では、同排気量でも高出力タイプの86やBRZのトルクはどうなっているか?
86やBRZのエンジンは実に200PSを超える高出力エンジンとなっています。
※1000cc当たりの出力が100PSを超える、高性能2Lエンジンを積むスバル BRZ
一方、インプレッサ等に搭載されているエンジンも水平対向4気筒の排気量2.0Lなのですが、最高出力は150PSにとどまっていますね。
では、トルクに関してはどれほどの違いがあるのかというと・・・
実は、86やBRZに搭載されているエンジンの最大トルクは20.9kgf・mで、インプレッサに搭載されるエンジンとほとんど変わらない値となっています。
注目すべきは、馬力であれば50PS以上の差があるにもかかわらず、トルクに関してはほぼ変わらないことです。
このことから、トルクというのはエンジンの排気量によってほぼ決まるということが分かります。
考えてみれば当然で、トルクは先に記載した通りエンジンの生み出す力ですので、どれだけの空気を取り込んで爆発・燃焼させるか、それがトルクの値となります。
多少の違いこそあれ、それが大きく変わるのは、加給機によって無理やり吸入空気量を上げられている時くらいです。
そして、このことが自分が知りたいのエンジンのパワーを、容易に推測できる鍵となります。
よく雑誌で見かけるターボエンジンの出力の表現として、『排気量〇〇cc相当の力』というのは、このトルクの値を見て記載されています。
例として、シビックハッチバックの公式解説を引っ張ってきました。
※ シビックハッチバックに搭載される1.5L ターボエンジン https://www.honda.co.jp/CIVICHATCHBACK/webcatalog/performance/driving/
さらに、ハイオクガソリン仕様とした上、排気流量を高めるセンターエキゾーストシステムの採用や、6MT車ではターボ過給圧を高めるなど専用チューニングを施し、全域で2.4L自然吸気エンジンを凌ぐ高トルクと、高回転まで伸びやかなパワーフィールを獲得しました。
そして、この解説文のシビックハッチバックのMT車に搭載されているエンジンのスペックは下記の通り。
- 最高出力:134kW[182PS]/5,500rpm(6MT)
- 最大トルク:240N・m[24.5kgf・m]/1,900-5,000rpm(6MT)
トルクの値に注目すると、24.5kgf・mというのは、排気量2400ccの自然吸気エンジンと同程度のトルクが出ているということです。
つまり、発生しているトルクの値を見れば、そのエンジンの持つ力を知ることができるということです。
そしてその値は、ほぼ排気量に比例した値になっており、このトルクの値を見ることで、そのエンジンがどれくらいの力を持っているかが分かります。
- 1.5Lエンジンが24kgf・mのトルクを発揮しているのであれば、このエンジンは2.4L相当のパワーを持っている。(シビックハッチバックの場合の例です)
- 2.0Lエンジンが40kgf・mのトルクを発揮しているのであれば、そのエンジンは4.0L相当のパワーを持っている、ということです。(シビックタイプRの場合の例です)
ちなみにこの考え方は、特にターボエンジンやモータ駆動の車の力を知りたいときに便利な指標となります。
私の所有しているアコードハイブリッドは、2リッターエンジンにもかかわらず、モータの力がトルク30kgf・mありますので、動力性能では3リッタークラスのパワーを持っていると考えることができます。
実際、それくらいのパワーを感じることができます。
※トヨタ式の場合は単純にモータ出力=パワーとならないので注意。トヨタ式HVシステムについては下記記事参照下さい。

馬力はその車の最高速に効いてくる。そして、車種によって大きく違う。
一方で馬力です。
先ほど解説したように、同じ排気量、トルクでも馬力が大きく異なります。
インプレッサスポーツ (FB20型エンジン)
- エンジン最高出力(KW[PS]/rpm) :113[154]/6,000
- エンジン最大トルク(N・m[kgf・m/rpm]) :196[20.0]/4000
BRZ(FA20型エンジン)
- エンジン最高出力(kW[PS]/rpm) :147[200]/7,000
- エンジン最大トルク(N・m[kgf・m/rpm]) :205[20.9]/
6400~6600
馬力とは先ほど記載した通り、トルク×回転数で示すことが出来ます。
なので、回転数が低い場合は馬力は大きくなりますし、回転数が高くてトルクも大きなまま維持できれば馬力は大きくなります。
そこで、このエンジンの出力を比べてみると、BRZの方が50PS以上高いことが分かります。
出力が高いと、最高速が出やすくなります。
馬力はトルク×回転数で示されるため、最高出力を高くするためには”高回転域”で”高トルク”を発揮することが必要です。
ここで、BRZとインプレッサスポーツのエンジンの性能曲線を比較してみましょう。
最高出力150PSのインプスポーツと、最高出力207PSのBRZの性能曲線を重ねて表示してみました。
濃い色がBRZのデータなのですが、トルクが高水準で安定しており、高回転になってもトルクの落ち込みがないため、結果、最高出力207PSを7000rpm時点で発揮しています。
一方のインプレッサスポーツ、トルクは最高点である4000rpm時点から徐々に低下していますが、回転数が高まっているため、なんとか6000rpm時点で150PSを発揮しています。
従い、この両車の場合は高回転域でトルクの大きい(=馬力の大きい)BRZの方が最高速を出しやすいことが分かります。
もちろん、これはターボ車やハイブリッドカーにも当てはまります。
※最高速を発揮するためには、エンジン回転数を速く保ち(エンジンの回転をギアを介してタイヤに伝えるため、回転数は高くする必要がある)、その回転を様々な抵抗(摩擦、空気抵抗など)に打ち勝って車体を動かすための大きなトルクを確保しておく必要がある、ということです。
では最高出力に劣るFB20型エンジンは遅いのか?
ということで、BRZの方が、最高出力が高く、最高速も出しやすいエンジンであることが分かりましたが、では150PSのインプレッサスポーツは遅いのかというと、確かに最高速という点で見ればBRZに劣りますが、BRZよりも優れた点があります。
それは、パワーバンドに幅があり、非常に扱いやすいエンジンであるという点です。
パワーバンドとは、最高トルク発生点から最高馬力発生点までの区間を指しますが、一般的にこの区間が一番エンジンパワーを使える範囲であり、この区間が広いほど扱いやすいエンジンであると言われています。
もう一度両エンジンのスペックを見てみます。
インプレッサスポーツ (FB20型エンジン)
- エンジン最高出力(KW[PS]/rpm) :113[154]/6,000
- エンジン最大トルク(N・m[kgf・m/rpm]) :196[20.0]/4000
BRZ(FA20型エンジン)
- エンジン最高出力(kW[PS]/rpm) :147[200]/7,000
- エンジン最大トルク(N・m[kgf・m/rpm]) :205[20.9]/
6400~6600
両エンジンの最高トルク~最高出力を発揮する回転数に注目すると、インプレッサスポーツのパワーバンドはBRZのパワーバンドと比べて非常に広いことが分かります。
性能曲線にその領域を示すと一目瞭然です。
それはつまり、このエンジンがピーク点の最高出力発揮型ではなく、広域で高出力を発揮できるようチューニングされたエンジンであることを指しています。
このように、インプレッサスポーツのエンジンは、豊富なトルク、出力を発揮できる回転数の範囲が広いため、BRZのエンジンに比べて、街乗りや一般ユースにおいて非常に扱いやすい特性であるといえます。
じゃあ速いエンジンはどっちなの?
途中で解説に加えたターボエンジンを引っ張ってくると話がややこしくなるので、一旦NAエンジン同士で比較してみたいと思います。
加速・最高速が高いという前提で話をすると、今回の比較はNAエンジン同士ですので、最高トルクが同一であれば、当然ですが最高出力が高いBRZのエンジンの方が速いと言えるでしょう。
一般的な使い方で安定して速いとか、使いやすいほうが良いという場合はパワーバンドの広いインプレッサスポーツの方が速いと言えるかもしれません。
といってもBRZのエンジンはかなり全域でパワーが出ているようです。(表を作る前までは、低速トルクが明らかに劣っていると思っていたのですが、これは意外でした)
中回転域でFB20型に劣る箇所こそあれど、それ以外では同等か上回っていることから、とても優秀なエンジン性能であることが読み取れます。
尚、当然ですが、世の一般的な車はインプレッサのような調整がされています。
今回同じ型式で同じ排気量でその性格の違いから比較が容易でしたが、一般的なエンジンについて、必ずしも最適な比較対象があるとは限りませんので、下表にざっくりと各排気量における平均的なトルクと馬力の表を準備してみました。
※3リッター以上の車であれば、普通に速い車ばかりと思いますので、省きます。
この表の値より高ければ”平均より速い”、低ければ”平均より遅い”と判断いただいたら良いと思います。
もちろん、2.0Lのミニバンと2.0LのCセグハッチバック(インプレッサスポーツ等)はエンジン出力が同じでも車両重量がまったく異なりますので、比較するのはナンセンスです。
比較するのであれば、同車格、同タイプの車同士で比較してください(*´ω`*)
尚ここで紹介している方法は、相対的な評価ですので、あくまで同排気量の他のエンジンに比べれば、という話です。
絶対的な速さが欲しいのであれば加給エンジンか大排気量エンジンを選ぶのが間違いありません(*´ω`*)
まとめ
ということで、カタログスペックから読み取れるエンジンの性能で、その車(というかエンジン)が速いのか、そうでないのかというのを簡単に纏めてみました。
今回に関しては、同排気量でもチューニングによって馬力が異なっており、最高速を求めるのであれば馬力が高いほうが速い、ということを示しました。
そして、馬力を上げるためにはトルクも重要であることを、BRZのエンジンであるFA20型とインプレッサスポーツのエンジンであるFB20型の性能曲線を用いて解説させていただきました(*´ω`*)
次回はターボエンジンとNAエンジンの比較をしてみたいと思います。これもある程度予測はつきますが、さらにターボエンジンと今ホットな(?)ディーゼルエンジンの比較を行いたいと思いますので、少々お付き合いください(*´ω`*)
最後までご覧いただき、ありがとうございました(*´ω`*)