充電の要らないEVとは? 日産のハイブリッドシステム e-powerについて

自動車・バイクの基礎知識

こんばんわ、たまです。

今日は、2018年上半期登録者販売台数No.1に輝いた日産ノートにも搭載されているe-powerというシステムについて出来るだけわかりやすく解説したいと思います(*´ω`*)

 

 

※Nissan Note e-power 2019年1月時点のモデル

 

このe-power、日産の宣伝をみると、充電のいらない電気自動車といった触れ込みをよく見かけます。ただ、他社のハイブリッドカーが、こういった宣伝の仕方をしているのは見たことがありませんね?

これまでのハイブリッドシステムとどう違うのでしょうか?

 

 

日産のe-powerとはレンジエクステンダーEVである

 

分かりやすくって言っておきながら、レンジエクステンダーEVなんてカタカナ使いやがって!ふざけるな!って思われそうですが・・・

e-powerの仕組みについて理解するために、まず、電気自動車について説明し、そのあとレンジエクステンダーEVについて解説します(; ・`д・´)

 

電気自動車とは?

 

※日産 Leaf  バッテリー容量40kWh~60kWhを誇る世界販売台数No.1の電気自動車

 

電気自動車(EV : Electrical Vehicle)とは、普通のガソリンエンジンで稼働する車と違い、モータで駆動する車を指します。具体的には、エンジンとガソリンタンクの代わりに、モータとバッテリーを搭載した車ですね。

バッテリーに貯めた電気を使ってモータを回し、そのモータで車輪を動かすわけです。

 

このEVは、バッテリーに貯めた電力を使い切ると、ガソリン車で言うガス欠と同様に、動くことができなくなってしまいます

そして、ガソリン車と違うのが、EVはバッテリーの充電が簡単にはできません。電気が満タンになるまでに、200Vの電源でも8時間前後、急速充電器を使っても80%充電するのに30分もかかってしまいます。

EVを使う際は、いかに電欠(バッテリーの電気を使い切ってしまった状態)を起こさない範囲で行動するか、補給経路をドライブプランに組み込むか、ということを考えなければなりません。

 

レンジエクステンダーEV

 

※ BMW i3 現行モデルはバッテリー容量33.2kWhと、リーフ(40kWh版)に迫る容量を誇る。そして、647ccのガソリンエンジンを発電用エンジンとするレンジエクステンダー仕様もラインナップされている。

 

レンジエクステンダーEVとは、このような欠点を持つEVの欠点を克服した車と言えます。

その構造は簡単に言ってしまえば、EVに発電用のガソリンエンジンを搭載したもので、バッテリーの電気が無くなっても、エンジンで発電して、そのまま走り続けられますよというものです。なので名前がRange(行動範囲) extender(拡大化)なのですね。

 

レンジエクステンダーEVというとBMWのi3という車が該当しますね。

BMW i3は、33.2kWhの蓄電容量を持つリチウムイオンバッテリーに貯めた電気を使って車輪を駆動しますが、バッテリーの充電が切れそうになると、搭載されたエンジンを使って発電し、そこで生まれた電気をつかってモータを駆動することで、バッテリーの電気が無くなった後も走り続けることができます。

つまり、EVの充電が切れたら・・・という不安、不便さを解消したのがレンジエクステンダーEVということです。

 

といっても欠点がないわけではありません。

 

レンジエクステンダーEVは、基本EVの車体に発電用エンジンを搭載しているので、重量が増加してしまい、エンジンのメンテナンスが必要になり、そして、コストが上がってしまいます。

EVで一番お金がかかるバッテリーも大量に搭載し、その上ガソリンエンジンまで搭載してしまえばコストが上がるのは誰の目にも明らかですね(; ・`д・´)

 

 

日産のe-power

 

そこで日産が世に送り出したのが、e-powerというシステムです。

構造的には、モータとバッテリー、エンジン、ガソリンエンジンを搭載するレンジエクステンダーと同じコンポーネントです。

そして、基本的にタイヤを動かすのはモータです。なので日産がEVと呼んでいるのですね。充電が要らないというキャッチフレーズは、レンジエクステンダーEVから来ています。

 

しかし、レンジエクステンダーEVと、このe-powerには明確な違いがあります。

それは、e-powerの搭載するバッテリー容量がとても小さく、通常のハイブリッドカー(1kWh~2kWh程)と同程度の1.5kWhに留まっているということ。

 

これは何を意味するのか?

 

本来のレンジエクステンダーEVはバッテリーの電気が減ったらエンジンで発電して給電して走行可能距離を延ばすというのが基本的な仕組みです。

 

ところが、e-powerについては、バッテリー容量がレンジエクステンダーEVとしてみれば少ないために、頻繁にエンジンを動かして発電を行う必要があります。

 

なので、構造自体はレンジエクステンダーEVなものの、基本的な考え方が異なり、常にエンジンで発電をして、そこで生み出された電気を使ってモータを回し、車輪を駆動させるというのがe-powerの方式です。

 

もちろん、小容量ながらバッテリーも積んでいますので、エンジンの発電による余剰電力や回生電力(ブレーキを踏んだ際に回収できる電力)を貯めておいて、平坦路や下り坂等の負荷が小さい走り方を行う際は、エンジンが停止して完全なEV走行状態とすることもできます。

 

 

日産e-powerの長所・短所

※e-powerのシステム図。 左側に発電用エンジンが、右側にEVのシステムが組み合わされている。

 

ここで、e-powerの長所短所について簡単に解説します。

長所

  • 駆動系は完全にEVなので、力強い走りができる
  • バッテリー容量が小さいためシステムコストを安くできる
  • 純EVのように航続距離を心配する必要がない

 

短所

  • バッテリー容量が少ないが故、常に発電をする必要がある
  • エンジンは発電専用なため、CVT以上に操作感と実際のシステムの動きが合わない
  • 駆動をモータのみで行うため、モータが苦手な領域で燃費が悪くなる

 

 

長所:力強い走り

 

e-powerの一番の長所は、駆動系がモータであることによる力強い走りにあると思います。

 

ちなみに何故モータ駆動であると走りが力強くなるのか?

 

モータの特性として、極低速回転~中速回転域で最大の力を発揮するというものがあります。つまり、加速性能に非常に優れているのです。

テスラのEVであるロードスター(2008年モデル)が、ポルシェ カレラ911と加速勝負で勝利したときはEVの、そしてモータ駆動の可能性を世界に示しました。

 

ここで、e-powerを搭載したノートの加速性能(0-100km/h)を見てみましょう。参考までに、同クラスの一般的な加速時間は10~12秒程度です。

 

NISSAN NOTE e-power フル加速 リミッター作動まで

 

はい、めっちゃ早いですね( ゚Д゚)

 

下手したらうちのアコード(3Lクラスの動力性能)より早いかもしれません。

駆動用モータの仕様を見てみましたが、e-powerに用いられているモータ(リーフと共用らしいですが)は、2.5Lエンジンよりも強力なトルクを発生させるようです。

 

それでいて車両重量は1.2t前後とコンパクトカー+αくらいの車重ですので、3Lクラスの加速というのも頷けます。

 

 

ということで、コンパクトな車体に強力なモータを仕込んだノートの動力性能は高く、ストレスフリーなドライブを、ドライバーに与えてくれること間違いありません(*´ω`*)

 

 

短所:駆動をモータのみで行うため、モータが苦手な領域で燃費が悪くなる

 

 

と、ここまでべた褒めで進めてきたのですが、当然欠点があります。一番深刻なのは、モータ駆動であるがゆえに、モータ駆動の欠点をそのまま残してしまっています。

 

その欠点とは、高速域での効率の悪さです。

 

というのも、日産リーフのカタログやレビューを見てもらえばわかるのですが、高速走行時はスピードを出しすぎると効率の低下により電力の消費が速くなるといった傾向があります。

 

私はリーフを所有していたのでそれを実感していますが、とにかくモータ駆動は高速域での電力消費が大きいです。モータ自体が高速回転域が苦手ということもありますが、速度が上がることで空気抵抗が増し、それに打ち勝って進む必要があるため余計にパワーをひねり出す必要があるのです。

 

そんなの他のハイブリッドカーも一緒でしょ?

と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそうでもありません。

 

プリウスのハイブリッドシステム(THSⅡ)は、高速領域になるとどういった制御になるかご存知でしょうか?

 

THSⅡは、高速領域はほとんどガソリンエンジン駆動となり、EV走行はほぼしなくなります。

同じくHONDAのi-MMDは、エンジン直結モード制御となり、これまたガソリンエンジン駆動となります。

 

実は、ガソリンエンジンは高速走行時の効率はモータ駆動に勝るのです。ただし、ある程度の排気量(2000cc前後)を有し、回転数を落とした状態で駆動する、という条件は付きますが。

なので、TOYOTAやHONDAに代表される他社製ハイブリッドシステムは、高速走行という状況になると、モータ駆動からエンジン駆動へ切り替え、システムとして最大の効率を得るような制御を行います。

 

e-powerには、そういった機構がなく、低速から設定された最高速まで全てモータ駆動のシステムとなります。つまり、機構的に高速走行時の効率悪化に対応する術を持っていないのです。これは通常のレンジエクステンダーであればどの車種も抱える問題です。(※HondaのクラリティPHEVを除く)

 

なので、コンパクトカーのNOTEはまだしも、長距離走行等も想定したセレナe-powerの燃費は・・・あまり良くないかもしれませんね(; ・`д・´)

 

ちなみに、価格.comで調べた燃費満足度によると、セレナe-powerの評価数が4.24、ステップワゴンHVが4.55となっており、満足度で見るとe-powerの方が低い値になってしまっていました…(^-^;)

 

といっても、適材適所という言葉があるように、e-powerもハマるシチュエーションで使用すれば最高のパフォーマンスを発揮してくれます

低速が得意でパワーがあるということは、高速走行を無視すれば、大人数を乗せて移動を行うというシチュエーションでe-powerを使うというのはとても理にかなっています(*´ω`*)

 

まとめ

 

ということで日産のe-powerの紹介でした(*´ω`*)

 

日産の誇る電気自動車リーフの技術を生かした日産らしい車だと思います。宣伝も効果的な言葉を使うことで販売台数No.1まで伸ばしてきています(プリウスの販売不振があるのも確かですが。。。)。

 

色々な問題で揺れる日産自動車ですが、今回の件を機に膿を出し切り、再び日本国内に目を向けたラインナップ拡充、整理をして行っていただきたいと思います。

 

 

P.S.

もしこれを読んでいる方がe-powerを選ぶかどうか悩んでいるという場合は、下記の記事も読んでみてください(*´ω`*)

特に、i-MMDはe-powerの欠点を克服した、完全上位のシステムであると、私は考えています。

 

 

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